以太以外

国は夜ずっと流れているプール 以太

2023-01-01から1年間の記事一覧

所以123

科学技術が役に立つと人々に思わせるために詩歌文芸が要る。 郵便料金値上げは政府や日本郵便だけの問題ではなくて過半が福沢諭吉由来の共同体アナーキストである日本人の公意識の問題でもある。 ハガキしか入らないおしゃれなだけの郵便受箱・公道に面して…

所以122

家臣団がダメなら官僚集団が欲しい。戦中に敗戦後をsimulateしていた内務省のような。 特別高等警察は思想警察のことで、政治警察が政治活動という外面にあらわれるものを取り締まるのに対し、思想警察は思想の内面までも取締りの対象にする点でおおいに異な…

所以121

エルドアン政権は、命の危険から逃れてくる人びとを無下に追い返すことがイスラム的道徳に反すると考えていたのである。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書) 弱者の救済に熱心に取り組む。これは、民族を超越するイスラムの教えであり、イ…

所以120

日本の政治的スペクトルを思想で分けると実態を捉えなれない。どちらの側に立つかで分けるべき。 徳川と憲法9条は保守、豊臣と長州閥は革新など。 LexioNeo、韓国発の麻雀×ポーカー×大富豪なボードゲーム 以暴易暴 急速な西洋化に多くの国民は戸惑いを示した…

小川軽舟『無辺』ふらんす堂

〈かつ丼の蓋の雫や春浅き/小川軽舟〉春の雪が溶け、湿り始める気配をカツ丼の蓋の裏に見つける。〈/小川軽舟〉〈春郊の道あつまりて橋一つ/小川軽舟〉いいな。道の集まって橋となる様は確かに春めいている。〈新しき街に寺なしチューリップ/小川軽舟〉…

小澤實『澤』角川書店

〈秋風やカレーにソースかけて父/小澤實〉カレーにソース、たぶん味見もせずにソースをかける父。〈雪嶺まで信号五つすべて青/小澤實〉幸先が良い。田舎なので交差する道路は車が少ないのだと分かる。青っぽい雪。〈一支線二輛往復さくら咲く/小澤實〉の…

所以119

秘密警察を持たない民主的社会主義など最低の管理システムだ。あっという間に崩壊する。絶望は深化する。人々はなりふり構わずに、強権を渇望するだろう。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫) 狩猟的祝祭 シティポップを語る際に「風景」と…

所以118

向こう側には恐ろしい数の弱者がいる。弱者はいろいろなものを奪い取る。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫) 狩りによって俺達は人間になった、だから狩をしない奴は人間じゃなくて、まだ猿なんだ、いや猿に戻ったというべきかな。(村上龍…

所以117

大阪の上町台地と東京の江戸前島は地形として似ている。豊臣秀吉はその類似に着目し、江戸を東の商都とさせるべく、関東奥羽支配の拠点とするべく徳川家康に国替させたのだろう。 漢典 詩歌への批評眼はすばらしいが社会へ目を向けると表層しか捉えられてお…

安田中彦『定本 人類』

読んだのは2023年10月発行の、定本の方。〈新聞を踏んづけてゆく孕み猫/安田中彦〉世情を越えてゆく孕み猫であり命を産むものの強さ。〈雛段の底の臣民略さるる/安田中彦〉下の方の人ほど多くの段を買えないので臣民を多く略している皮肉。〈/安田中彦〉…

所以116

言葉を重んじる人は軽々しく理由を述べない。 家族は観光客でつくられる。家族は誤配で生まれ、訂正可能性によって持続する。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン) 家族とは訂正可能性の共同体だ。そこでは、偶然と運命、変化と保守、開かれているものと…

所以115

集団生活で習得するのは、集団と上手につきあう方法ではなく、集団に心を動かされない方法。 科学者がスピリチュアルな人を恐れるように、スピリチュアルな人は詩人を恐れる。 人の役に立つものだけを善として手元に置くのではなく、役に立たないとされるも…

所以114

何語を学ぶかは問題ではなくどの言語をどれほど長く深く学べるかが大事だ、ということを十数語の失敗とともに学ぶのが語学。 戦後共産主義のイタリア語か詩のトルコ語が無難かも。 結論ありきの行動(団体や個人を叩くこととか)には魅せられない。結論はぼ…

山口昭男『礫』ふらんす堂

アゼルバイジャンとアルメニアの紛争が落着したかと思ったら今度はイスラエルとガザ。第三次世界大戦も危惧されるなか『礫』を読む。〈冬鵙のゐさうな山の容かな/山口昭男〉たぶん中国地方や四国地方の山ではなく中央高地の尖っている山だ。〈手袋のその人…

所以113

ジャニーズの次はジブリかハロプロか、エイベックスやサンリオかもね。驕れる者は久しからず。 軽みとは意味へのこだわらなさ。 モル的な組織、党派ではない群衆。 「備給 investissement = Besetzung」というのは、リビドーを特定の対象に注入することを意…

所以112

タブ朗 放送大学「記号論理学」 ブサヨやネトウヨなど、相手を反論しやすい類型へ落とし込んで個々の意見から目を背ける人は、個々の意見を汲み取り反論する対話ができず、類型化された語彙と思考パターンのなかで会話している。 ブレグジットにしても、トラ…

所以111改

特別視されている何かがあれば現象として観察し、相対化のうえ解体するのがSFというジャンルの性分でもあり、愛もまたその対象である(伴名練「愛」『新しい世界を生きるための14のSF』早川書房) 浜松市と磐田市のプール・徒渉池(じゃぶじゃぶ池)リス…

所以110

私にとって演劇を創るという行為は、とりもなおさず、私に見えている世界を社会に向けて開示するということだ。(平田オリザ『演劇入門』講談社現代新書) 戯曲を書くにあたって、テーマを先に考えてはならない。(平田オリザ『演劇入門』講談社現代新書) …

所以109

だから、若者たちが、定職を持たなくとも、何とか、生計をたてていくことができたのは、時、まさに、高度経済成長期だったからに他ならない。(風間研『小劇場の風景』中公新書) 日本ではまだ、演出という概念が人びとの間に浸透していないから誤解している…

所以108

8月2日(水)河骨が咲いた。木蓮、木瓜の花、額の花、河骨、金木犀、山茶花あたりが好きな花だ。 俳句結社麦の会、収穫祭で第一位になった。俳句連作30句「人新世の空」 地方美術ボス the lcal art bossとは、のちに芸術社会学の用語に加わるだろうタームで…

所以107

武蔵野探勝のような遠州探勝を。風景の領土化のための俳句・短歌・詩の吟行を。 名古屋で流行った文化やカルチャーは2年遅れて浜松へ到達する、らしい。 観光客とはなにか。ここまで述べてきたとおり、それはまずは、帝国の体制と国民国家の体制のあいだを往…

所以106

輪郭のはっきりした絵はそれが何を表現しているのかを明確に伝えたい。 奄芸郡の林城(安芸郡芸濃町林)、長野工藤氏の一族林裕行や林重越の居城(林城屋敷城/古城盛衰記)だったか? 亀山城主関盛信やその家臣の鹿伏兎定信に林氏は林城を逐われる。 言語の…

千葉皓史『家族』ふらんす堂

淡々と日々。〈とんとんと事の運べる息白し/千葉皓史〉上手くいっているのはいいことだけれど、気忙しくなる。〈ま近くに駅あるらしき櫻かな/千葉皓史〉人の気配がある、街の動く気配がある。春は人が外に出て、動く。〈薔薇園のみじかき道を行きにけり/…

所以105

mastodonやthreadsなど新しいSNSができても旧来のフォロー・フォロワー関係からぬけだせない人はいる。もちろん、それをぬけられる感度のある人もいる。 感度は高低ではなく有無で表現したい。ひっかからなければ無いのだから。 外山恒一トークライブ・『対…

今井杏太郎「海の岬」『今井杏太郎全句集』角川書店

ときどき読みたくなる今井杏太郎。〈うすらひといふつかの間の水の色/今井杏太郎〉薄氷は、水というはるかな時間にとって一瞬にすぎない。〈眠るなら紅梅の散る海がいい/今井杏太郎〉水葬されるなら。〈南より北へながるる春の川/今井杏太郎〉日本海へ注…

所以104

現代社会の基盤は現代思想がつくり、現代詩歌が先導し、現代詩歌を参照した現代芸術があとから続く。 現代詩歌が先導するのは着想から完成までが最短だから、特に現代短詩は。ライフサイクルの短い生物のほうが進化が速いように、現代詩歌は頻度が高いため先…

所以103

何人かの禿頭がひっついて一個の月になった。(マヤコフスキー、小笠原豊樹訳『戦争と世界』土曜社) 近代短歌を読んだあとより和歌を読んだあとの方が作る現代短歌の質が上がる現象。 これは詩的発想にとって大事なのは読んだ文字列より読んで得た想像の方…

所以102

バーミヤン浜松白羽店はいつも人手不足。 6月24日(土)、プリゴジン氏ワグネル2万5000人の叛乱。ロシア連邦軍の一部がプリゴジン氏のクーデターへ寝返ったとも。 私の友人で、ニューヨークに住んでいるアメリカの詩人は、出版社のプロモーションなどで、よ…

所以101

言語創造と言語習得の段階で、ヒトは非論理的な推論を試みる。その試みをするときの昂揚を再現しようとする言語芸術が、詩だ。 詩は乳幼児の言語習得的興奮の再現である。 たけし文化センター 今日における社会のクリーン化は、人間の再動物化という面を持っ…

所以100

デリダはひじょうに複雑なものを書きますが、それはデリダ自身がまず他人のテクストをきわめて高解像度に読む人だからで、そもそも「読むって、これくらい読みますよね?」というデフォルトの基準がハンパなく高いのです。(千葉雅也『現代思想入門』講談社…