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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中日歌壇2020年11月29日

通読していると梶村京子氏、棚橋義弘氏、豊島芙美子氏などをお見かけして常連の方なのでは、と思う。島田修三選第二席〈枝つきのみかんぶらさげ姉来たる遠州弁をころがし姦し/小桜一晴〉青島みかんかな。〈降り来て手に乗りそうな金星を目指して歩む朝冷え…

川野芽生『Lilith』書肆侃侃房

ある晴れた日、「Lilith」を読む。〈夜の庭に茉莉花、とほき海に泡 ひとはひとりで溺れゆくもの/川野芽生〉近くの白い茉莉花に遠い海音を聴くかのような思考がある。溺れるのは誰かの言葉ではなく自分のそんな思考ゆえに。〈しろへびを一度見しゆゑわたくし…

初谷むい『花は泡、そこにいたって会いたいよ』書肆侃侃房

小林一茶百九十四回忌全国俳句大会高校生大学生部門で〈雲影は山までつづく夏休/以太〉が佳作と連絡のあった日、『花は泡、そこにいたって会いたいよ』を読む。〈夜汽車 ふみきりのような温もりでだめって言って抱きしめている/初谷むい〉「夜汽車 ふ」で…

中日歌壇2020年11月22日

野田秀樹の「赤鬼」を観終わった。島田修三選第一席〈この秋の一番の濃き鱗雲 雲の余白に靴下を干す/大場米子〉「雲の余白」は空ばかりではなく地上もそうだと思わせる。第二席と第三席が突然音楽で「曲名」シリーズ〈断捨離のゴミの中よりオルゴールの「く…

中日歌壇2020年11月15日

杏林堂で産まれて三ヶ月もない乳児を前抱きにしたお母さんが丹念にカートを消毒していた。島田修三選第二席〈横町のちひさき空のおぼろ月ふふめば甘くほろほろくづる/西脇祥貴〉おぼろ大根を思う。〈カレーには外米が合うパサパサの母のカレーが食べたくな…

奥田亡羊『男歌男』短歌研究社

淡い日、『男歌男』を読む。〈補助輪をはずせば赤き自転車の少女にわかに女めきたる/奥田亡羊〉補助輪を外すと均衡を保つため姿勢がよくなる。〈流木の流れぬときも流木と呼ばれ半ばを埋もれてあり/奥田亡羊〉流人めく扱いの流木。「流れぬときも流木と呼…

石井英彦『炎』文學の森

謹呈された『炎』を読む。〈白い電車が梅雨の山へ入ってゆく/石井英彦〉ただならぬ電車に違いない。死者を乗せるような。〈化物の国をやさしく雲の虹/石井英彦〉「化物の国」と「やさしく」は人柄のあたたかさ。〈たましいとこころ和解す瓜曲る/石井英彦…

中日歌壇2020年11月8日

昨夜は〈母は云う私の生まれた経緯を林檎の赤を磨きつづけて/近藤尚文〉や〈ぼくにはぼくきみにはきみの名があって汐風香るその町へゆく/近藤尚文〉や〈鉄橋の真下でねむる冬の犬ただ星くずに降られぬように/近藤尚文〉といった輝かしい歌群を読み、今ま…

郵便配達用語集

郵便配達員が仕事で使う専門用語や略語を一覧にしました。

第三十八回短詩形文学献詠祭

伊勢国一宮椿大神社の別宮椿岸神社にて短歌と俳句の短詩形文学献詠祭が催され、参加した。 東名と伊勢湾岸と新名阪を駆け抜け新設の鈴鹿インターチェンジをおりた。浜松市から四時間弱で茶畑に辿り着いた。鈴鹿山脈の麓は伊勢茶の産地で、新名阪の高架から海…

中日歌壇の十代

秋の中日歌壇で酒井拓夢氏の名を覚えた。まず2020年9月6日の小島ゆかり選第二席にその名を見つけた。〈生温い夏の夜からちぎれ来た小さき闇の如き黒猫/酒井拓夢〉評の「驚くべき十代の作者」には驚かなかったけれど、黒猫の流体性を「ちぎれ来た小さき闇」…

中日歌壇2020年11月1日

地理的な興味で、金沢市・磐田市・高山市・湖西市・伊賀市などの文字が中日歌壇に多く並ぶと嬉しい。島田修三選第一席〈面倒な話を持ち出すとき夫は一般論だと前置きをする/森田ちえ子〉私も、そう。君のことを言っているのではない。〈「ごめんね」を朝言…