2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
図書館俳句ポスト八月の題「天の川」で〈へその緒の桐箱白し天の川/以太〉が特選だった週の中日新聞より。 中日歌壇 島田修三選第二席〈風の道に立てられてゐき洗ひ張り板路地の記憶に母が住みゐる/冬森すはん〉かなり字余りなのか。でも路地の風景が鮮や…
島田修三選第二席〈背後から頭上を越えて青空の高みへヘリが吸い込まれてゆく/今井久美子〉スパイ映画の一場面のようだ。第三席〈うろこ雲リヤウインドに映しつつ前車は秋を背負って走る/安江弘行〉前車が秋を背負うなら気づかぬうちに我が車も背負わせて…
島田修三選〈乗り物の名前を問えばバス、電車、肩車と答う認知症の夫/鈴木千慧子〉肩車は子供の乗り物であり、すでに夫の心は幼児に返っているのか。〈案外と清女は喜ぶやも知れず枕草子のオンライン授業/増崎秀敏〉あいつなら、ね。小島ゆかり選第一席〈…
島田修三選第三席〈無いはずの鍵はいつでもここに有り有るはずの庭は静かに朽ちる/倉知典子〉家は売るはず、庭は手元に残しておくはずだったのだろう。ままならないのが人生。〈凡庸な自分の歌にへこむ日はシンクを磨きやかんも磨く/二ツ木美智子〉凡庸こ…
島田修三選第一席〈就職の決まらぬ悪夢に目が覚めて年金制度暮らしの我と気がつく/坂神誠〉失業時代かもしれない。金が途切れるかもしれないという恐怖が日常生活者にはある。〈旅姿した牧水が徳利さげまだ佇っているこんな山路に/梶村京子〉これは門谷の…