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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

2023-01-01から1年間の記事一覧

所以99

〈情勢論〉こそ、政治的思弁が永遠にぬけだすことのできない運命なのである。(高橋和巳『孤立無援の思想』岩波書店) 現在と現実の勢力関係から政治は逃れられない。 元来、民主主義政治というものは、本質的に情勢論を超えようとしない性質をもつ。(高橋…

西村麒麟『鶉』港の人

ひょろひょろと帰路。〈なつかざる秋の金魚となりにけり/西村麒麟〉懐く金魚とは? 夏飾るとも読める。〈いくつかは眠れぬ人の秋灯/西村麒麟〉首都高から見た高層マンションの灯。〈虫の闇伸びたり少し縮んだり/西村麒麟〉音の波として。〈上野には象を残…

所以98

二元論を超えるためには、人は言語に無理をさせて詩人にならなければならない。 ノンバイナリーという二元論。 言いたかったことを正確に言うために、ものを書いてどうなるというのか。(シオラン、出口裕弘訳『生誕の災厄』紀伊國屋書店) 私はいつも神以前…

所以97

あらゆる苦悩は精神の領域においては例外なくひとつの幸運である。精神の領域においてのみ。(シオラン、金井裕訳『悪しき造物主』法政大学出版局) 苦しんだことのない者との会話は、すべて例外なく下らぬおしゃべりに過ぎない。(シオラン、金井裕訳『悪し…

渡部有紀子『山羊の乳』北辰社

小世界という愉しみ。〈夏休みドールハウスに世界地図/渡部有紀子〉ドールハウスに小さな世界地図がある。それを見て人形たちの旅を思う夏休みのささいな楽しみ。似た趣きは〈夜店の灯にはかに玩具走りだす/渡部有紀子〉や〈箱庭の夕日へすこし吹く砂金/…

所以96

参加しました。→『さみしい夜の句会第Ⅱ集』満点の星。 マンガで被害を主張、はまず疑うのがネットリテラシー。 マンガは、被害者にしたい側をかわいらしくそして加害者にしたい側を醜くや黒ベタで描けばそれだけで読者に固定観念を与えられるから、マンガを…

所以95

Freeciv 米サザン・インディアナ大学(USI)による最近の分析では、肉を含まない食事は雑食性の食事よりも高いうつ病や不安レベルと関連していることが示されました。(心の病が「肉食を放棄させている」可能性が高い) 鶏が先か卵が先か、鬱が先かヴィーガ…

所以94

映画「花とアリス」は児ができてから、特に女児ができてから観ると違う味わいを得る。特に鎌倉での平泉成のシーン。 探求の共同体は、聞く共同体でなければなりません。(河野哲也『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』河出書房新社) …

所以93

直観(≠直感)と記憶の第二の様相。 何事も名乗った者勝ち、イベントを起こした者勝ち 浜松市から伊良湖まで、つまり中田島〜新居町〜白須賀〜伊良湖岬は、原付2種110ccで所要時間だいたい1時間45分。途中休憩は赤羽根にて10分で充分。 伊勢湾フェリーの臨時…

所以92

ZINEを職場の複合機で出力・コピー・製本するのはペルーク 勤務先のコピー機など社用の備品で活動用の同人誌や私用の冊子を出力・印刷することは抵抗戦術ペルークperruqueと呼べる。 ミシェル・ド・セルトー、周縁化された民衆の日常生活における抵抗戦術と…

所以91

誰かを便乗歌人と批判することが、進歩派歌人としての自分の証となった。(三枝昴之『昭和短歌の精神史』角川ソフィア文庫) 戦争を支える歌を作り、戦時に国を支えるのは当然と考えていた三人が、戦後は進歩派と戦争責任者に分かれる。表現の実質と無関係に…

龍禅寺の句碑

浜松市中区龍禅寺町に町名の由来となった龍禅寺がある。前太政大臣近衛前久が本能寺の変後に浜松の徳川家康を頼って来浜しこの龍禅寺に滞在したことで有名だ。 その龍禅寺に北門から入って右奥、すなわち境内の南西隅に句碑が2つ立っている。 〈窓打つや秋を…

所以90

「先生、語学が上達するのに必要なものはなんでしょうか」「それは二つ、お金と時間」(中略)「覚えなければいけないのは、たったの二つ。語彙と文法」(中略)「外国語を学ぶためには、次の三つのものが揃っていることが望ましい。その第一はいい教科書で…

海老塚公園の句碑

浜松駅駅南にある双葉小学校の南、新川の西岸に海老塚公園がある。その公園の北側の植え込みのなかに碑が立つ。その「和 浜松市長 栗原勝」の左横に何やら「月の笙」のような句が書いてあるのを今日見つけた。月だから俳句だろう。作者名はおそらく洞光であ…

所以89

タンブリンダイス おはじき・サイコロ・カーリング インターネット上にも、退屈なくらい静かな場所があっていいと思うのです。(suisについて) 10年メモのnu Kalfsvlies, Auteur: Marieke Lucas Rijneveld オランダ語の新聞 de telegraaf/de volkskrant/tro…

所以88

「公理系」は「言語」と「公理」と「推論規則」からできています。その中の「公理」が世界を特徴付けて区別しています。(小島寛之『証明と論理に強くなる』技術評論社) 可能世界。命題記号、真理値(真と偽、TとF、1と0) 「ならば」で結んだ論理式は、「…

所以87

本市を中心に精力的な活動に取り組んでいるイラストレーター:いきものだものさんが、材料費のみの無報酬で本取り組みにご協力してくださいます。(地下道アートペイント) 身の長に合ふ迷彩服を購ひてのち都市密林に紛れしひとり/齋藤史 権力者が組織的に…

虫武一俊『羽虫群』書肆侃侃房

〈しまうまのこれは黒側の肉だってまたおれだけが見分けられない/虫武一俊〉しまうまの黒側の肉と白側の肉が違う肉だと見分けるのは色ではない、味だ。〈自販機の赤を赤だと意識するたまにお金を持ち歩くとき/虫武一俊〉コカ・コーラの赤だろう。赤は目に…

所以86

嘘みたいな話だが、ずっと動きが悪い本を棚から一度抜き出して、また元の位置に戻すだけで、その日に売れていくこともある。僕は何度もこれを経験している。人が触った痕跡というものが、そこに残るのだと思う。(山下賢二『ガケ書房の頃』夏葉社) 思いもよ…

所以85

Tはトナーグレイ(Toner Gray)で、コピー機のトナーの色に寄せたコピックの開発用途に由来する灰色です。(C、W、N、Tの4種類のグレイの差について教えてください。) 噴水は挫折のかたち 夕空に打ち返されて円く落ちくる/吉川宏志 大熊座沈めば君が言はざ…

所以84

ひとり寝のわびしきままに起きゐつつ月をあはれと忌みぞかねつる/詠み人知らず つまり、女性が一人で月を見ることが禁忌とされるのは、かぐや姫のように思い悩んでしまうから、そして、彼女を思う人物の元から離れて行ってしまう可能性を危惧するからだとい…

伊藤一彦『瞑鳥記』現代短歌社

〈採血車すぎてしまえば炎天下いよよ黄なる向日葵ばかり/伊藤一彦〉赤と黄と青の色彩、採血車という危機めいた暗示。〈おびただしき穴男らに掘られいて恥深きかなまひるわが街/伊藤一彦〉工事現場だろうけど違う肉穴も想像してしまう。〈漂泊のこころもつ…

所以83

とれもろ cardsagainsthumanity.com 2030年前後1年、つまり2029〜2031年に大規模な災害が起きる。新手の疫病か大震災か戦争か放射能か。 100%ORANGE KIMKIM Dayart 九条は、「無意識」の次元に根ざす問題なのだから、説得不可能なのです。意識的な次元であれ…

光森裕樹『鈴を産むひばり』港の人

水銀は輝く。〈疑問符をはづせば答へになるやうな想ひを吹き込むしやぼんの玉に/光森裕樹〉答えを求めて問いを発する人は、すでに答えを持っている。〈どの虹にも第一発見した者がゐることそれが僕でないこと/光森裕樹〉二番手でも三番手でも僕にとっては…

『林和清集』邑書林

第一歌集『ゆるがるれ』部分。〈父子というあやしき我等ふたり居て焼酎酌むそのつめたき酔ひ/林和清〉父子という関係の不思議さが三つの酉に現れている。〈熱帯の蛇展の硝子つぎつぎと指紋殖えゆく春から夏へ/林和清〉ふえる指紋に生き物の気配を感じる。…

山岸由佳『丈夫な紙』素粒社

蟋蟀だな。〈うすばかげらふ空に時計の針余り/山岸由佳〉残り時間をもたない虫と余った時計の針の対比がすごい。〈雪原の真下をとほる水の音/山岸由佳〉それは見えないけれど聴こえる。〈ストローを上る果肉や成人の日/山岸由佳〉狭き門より入ように成人…

所以82

製塩や製鉄などにおいて、熱量を得るため薪が大量に求められ、その薪を供給する森や山の消耗が激しかったのである。(海野聡『森と木と建築の日本史』岩波新書) 明治国家は、神道を「信教の自由」によって選択されるような宗教と区別しました。すなわち、神…

岩田奎『膚』ふらんす堂

蠅について考えた。〈天の川バス停どれも対をなし/岩田奎〉上りと下りの対、宇宙と時刻表の調和のような。〈合格を告げて上着の雪払ふ/岩田奎〉胸の高鳴りを抑えて、平静を装うかのように雪を払う。〈東国のほとけは淡し藤の花/岩田奎〉深大寺と詞書。比…

所以81

bellum omnium contra omnes. ホッブス homines ex natura hostes sunt. スピノザ エチカを読み抄しつつ若き日の清き歎きに似て恋ふるかな 土田耕平 「non ridere, non lugere, neque detestari, sed intelligere」の安倍能成訳が「不嘲不歎不呪而唯識」 思…

所以80

ネットプリント案「区分棚」「乳齒象」 われわれのリアリズムは倍率一倍と称する倍率一・二五倍である。(森敦『意味の変容』ちくま文庫) 現代数学の粋といわれるトポロジーは、一言でいえば近傍の一語に尽きるとされている。(森敦『意味の変容』ちくま文…