2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
島田修三選第三席〈故郷で家一軒を売るチラシ田畑と山のおまけを付けて/神戸隆三〉〈黄変の七円ハガキに「新聞で短歌を見た」と恩師の太字/村田修〉七円葉書に切手を五十六円分貼りたしたのだろうか。〈華やかに気取りたい吾と実齢が鬩ぎ合ってる初夏のブ…
新聞社から電話のあった日、今や渋民村の工藤玲音から日本のくどうれいんになった工藤玲音の『水中で口笛』を読む。〈死はずっと遠くわたしはマヨネーズが星形に出る国に生まれた/工藤玲音〉マヨネーズの星形に宿命論を見る。設定がわざとらしくなくていい…
島田修三選第三席〈影は水町は水底トラックが鯨を気取り二速で過ぎる/西脇祥貴〉影も水も流れる。〈反抗期過ぎたる女孫が吾が部屋に日毎訪ひ来て話し込む日々/田中利容〉女孫にまごとルビ、両親以外に話せる大人が子には必要。小島ゆかり選第三席〈青空の…
梅雨入りした日、『水の聖歌隊』を読む。〈ひるひなか 薄ぼんやりしたエッセイを積み木で遊ぶみたいに読んだ/笹川諒〉そんなエッセイを、たとえばトルコとかベトナムとかコロンビアとか知らない作家のエッセイをまひるに読みたい。〈呼びあってようやく会え…
第38回都留市ふれあい全国俳句大会の高校生大学生の部にて〈映写機はマスクへ映す海の蒼/以太〉が【山梨県教育委員会教育長賞】と【正木ゆう子先生准賞】をいただいたけれど授賞式は中止と連絡があった。島田修三選第二席〈溶けやすき淡雪に似る詩語ひとつ…
中日俳壇で長谷川久々子選第三席だった、〈児を園に預けて妻と半仙戯/以太〉。島田修三選第二席〈一面の青麦畑を波立たせ郵便バイクが直線を引く/山本公策〉晩春のころから初夏にかけて田舎の畦道を走ると気持ちいい。第三席〈自動ドア開きたる間に菜の花…
インド変異株が日本にすでに感染しているかもしれないのに黄金週間で多くの人が移動している日、『前線』を読む。〈同僚の鼻を拭った綿棒がこの病院の命運決める/犬養楓〉病院に限らずコロナ禍では綿棒一本で生活が一変する。〈財源は誰かの痛みの分であり…
島田修三選第三席〈歩くたびポニーテールが揺れてゐるロングブーツの佐保姫が行く/川面得英〉乗馬を連想させる語彙。〈八十路ゆく己が歯列の欠けるよう吉田の宿の煙草屋消ゆる/長屋孝美〉と〈八十路なほ埋めつくされた予定表兄貴はぶれずそのままを生く/…