以太以外

国は夜ずっと流れているプール 以太

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

所以72

海は漁師にとっては、農民のもっている土地の観念に近かった。海は生活の場所であって、稲穂や麦のかわりに、白い不定形の穂波が、青ひといろの感じやすい柔土のうえに、たえずそよいでいる畠であった。(三島由紀夫『潮騒』新潮文庫) 少女の目には矜りがう…

所以71

しかし私は、日本人の中にも「多様性」や「多文化」があると考えます。(飯山陽『イスラームの論理と倫理』晶文社) 日本のなかの異文化を認め尊重すること。不要な害意を抱かないという文明的知性を持つこと。 春の日の不可知を問えばとうとうとピアノをあ…

俳句結社の探し方

これは俳句結社の選び方を、俳句結社を10項目で分類しながら考える記事である。

所以70

「幼少時から同じ師につき寝食を共にし祈りつつ学ぶ修行を重ねてきた、南アジアのスンナ派イスラームの多数派であるデオバンド学派の同じ価値観と知識を共有し固い絆で結ばれた同門の兄弟弟子たち」という政府の役人や兵士たちにはないタリバンの特質(中田…

所以69

イスラームはユダヤ教、キリスト教と比べると、ムハンマドにちなんだ歴史的個別性よりも普遍性を重んじているといえるでしょう(中田考『イスラーム入門』集英社新書) ↑ユダヤ教におけるユダヤ民族の体験としての仮庵の祭や過越の祭や七週の祭、そしてキリ…

所以68

楊子橋が工事で来年2月まで使えないの不便。 伝統は過去を参照して伝統を更新していく。未来や科学は参照しない。 芸術という商品は、近代資本制が虚構として成立するための外部的支えなのだ。その意味で、近代資本制は芸術を必要としているのである。別に言…

noveletoj kaj poemoj en esperanto, far ien

ien, japana esperantisto, verkis noveletojn kaj poemojn esperante. noveleto EKSTERTERA VIVO poemo ĉokolada kuko dormo sen sonĝo malluma lundo similulo

所以67

1968年の世界的な意義は、何ごとかをもはや後戻りのできないかたちで変容せしめる予兆をあたりに漂わせたことにあり、それ以上でもそれ以下でもない。(蓮實重彦「映画をめぐる言説の「戦後化」をめぐって」『かみのたねをまく フィルムアート社50周年記念冊…

所以66

時間は不連続な不可分の点の系列であり、世界はこの不連続の時間の点の系列の中において、一瞬ごとに無から創造されそのたびに消滅し、それを繰り返す。イスラーム神学で言うところの「時間原子論」である。/過去は存在しない。存在するのは「過去の痕跡」…

所以65

スピノザがここで言っているのは、人間が望みうる最高の喜びは、決して、超自然的で想像もできないような何かではないということだ。(國分功一郎『スピノザ』岩波新書) 11月9日(水)弊局のコロナ陽性者26名。 第四十回椿宮短詩形文学献詠祭前田典子選に〈…

栗木京子『新しき過去』短歌研究社

中立的というより詩の混沌にまで昇華できた社会詠をときどき読みたくなる。〈占領期といふ濃霧の日々ありき謀殺の文字ただ忌しく/栗木京子〉1949年国鉄三大ミステリー事件の一つ下山事件について。濃霧の日々というのが歴史感覚と合う。〈前を行く男女のつ…

所以64

計画言語コタヴァKotava a minore ad maiorem perfectionem transire. 「今日は鎌倉殿だよ」と言うと4歳児は「きょうはだれしぬの?」と言う。 11月7日(月)弊局コロナ陽性者が18人になった。第8波に呑まれた。 一つの言葉はその背後に他の諸々の言葉と織り…

春日いづみ『地球見』短歌研究社

恵まれた世代の詩という感じ。〈雁垂れの厨と厠を書き込めば図面に水音仄かにひびく/春日いづみ〉設計図面に生活がありありと再現された、水道管はまだ書き込まれていないけれど。〈国家なきクルドの民に長閑にも「お国はどちら」と聞きてしまへり/春日い…

所以63

国道1号線浜松パイパスの上り新天竜川橋付近は平日午前7時を過ぎると浜松→磐田への通勤車両で混みだす。 エスペラントの読みとは、言霊的な常識と知識による読みではなく、その度に創造していく読み。 エスペラントの造語法がそうさせる。そして、エスペラン…

加藤治郎『海辺のローラーコースター』書肆侃侃房

レモンが印象に残った歌集だった。〈ボディソープぬりたくっているやわらかい刃に指を滑らせながら/加藤治郎〉やわらかい刃は熱を帯びた危険な皮膚だ。〈あちこちにスイッチがあるまちがって明るくなった地球の一室/加藤治郎〉地球から一室への想像力の落…

所以62

スピノザが言っているのは、法制度や理性的計算だけでは政治秩序は作り出せないということである。(國分功一郎『スピノザ』岩波新書) 全句集は全句/集ではなく全/句集。 これと反対に知的な理解力に秀でた人、知性がうまく育っているヒトは、想像力の方…

黛まどか『北落師門』文學の森

噴水へのこだわりと季節への哀惜が感じられる。噴水は吟行地にあるのかな?〈春の旅島が寄つたり離れたり/黛まどか〉動く船を定点として航路から観察している。旅の躍動感がある。〈青空に触れて噴水折れにけり/黛まどか〉重力の存在を忘れた主観からの知…

佐藤弓生『薄い街』沖積舎

〈だしぬけに孤独のことを言う だって 銀河は銀河の顔を知らない/佐藤弓生〉象の背を知らない象のように向き合えない銀河の巨大さ、孤独がある。〈弥生尽帝都地下鉄促々と歩行植物乗り込んでくる/佐藤弓生〉年度末に通勤する種族は脳のない植物人間のよう…

所以61

いま住んでいる地域を都市と考えるか、小都市と考えるか、あるいは農村と考えるかは自分次第ということだ。(小松理虔『新地方論』光文社新書) 地方文芸賞の受賞式へ旅行して詩歌の話をして地元のスーパーマーケットで買い物をして一時的市民になりたい。 …