以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

新聞歌壇

朝日歌壇2021年7月4日

今朝の中日歌壇は大雨による熱海の土石流災害報道のためお休み、11日に掲載されるとのこと。 朝日歌壇 佐佐木幸綱選第一首〈神職の注視の先をかろやかに田植機がゆく御田植神事/北野みや子〉機械もまた人事。高野公彦選〈田の跡の白き家並み吹きぬける風は…

中日歌壇朝日歌壇2021年6月27日

中日歌壇 島田修三選第一席〈グーグルでわが町少し散歩すれば突如日傘の妻が現る/三上正〉日傘はGPS除けだったりして。第三席〈白鳥の哀しみほどではないとして布団の角で転ぶも悲し/林建生〉ずっと寝ていたいのに。〈横恋慕しないがよいと知己が言う一首…

中日歌壇朝日歌壇2021年6月20日

中日歌壇 島田修三選第一席〈雨ののち一方的に少年が恋したような夕焼けの街/坂神誠〉情熱だけの赤。かつての激しい思いが込められているような。第二席〈祖母の名は〈はん〉と〈とせ〉なり今の世のきらきらネームもやがて伝説/冬森すはん〉伝説にレジェン…

中日歌壇朝日歌壇2021年6月13日

中日歌壇 島田修三選第二席〈助詞一字迷いながらもポストまで投函止めて葉書と帰る/築山恵美子〉葉書を寝かせるの、大事。〈はじめての赤いウィンナー都会の味早大生と少し飲んだ日/梶村京子〉都会にまちとルビ。赤いウィンナーが好きな世代がいる、父もそ…

中日歌壇朝日歌壇2021年6月6日

中日歌壇 島田修三選第一席〈どこまでも中央分離帯に茅花揺れこの世もあの世もなきがごとしも/冬森すはん〉現代の構造物と茅花の対比は〈地の果のごとき空港茅花照る/横山白虹〉にも。空港は空と地上を分けてキリスト教的だが、中央分離帯は彼岸此岸への連…

中日歌壇中日俳壇2021年5月30日

島田修三選第三席〈故郷で家一軒を売るチラシ田畑と山のおまけを付けて/神戸隆三〉〈黄変の七円ハガキに「新聞で短歌を見た」と恩師の太字/村田修〉七円葉書に切手を五十六円分貼りたしたのだろうか。〈華やかに気取りたい吾と実齢が鬩ぎ合ってる初夏のブ…

中日歌壇中日俳壇2021年5月23日

島田修三選第三席〈影は水町は水底トラックが鯨を気取り二速で過ぎる/西脇祥貴〉影も水も流れる。〈反抗期過ぎたる女孫が吾が部屋に日毎訪ひ来て話し込む日々/田中利容〉女孫にまごとルビ、両親以外に話せる大人が子には必要。小島ゆかり選第三席〈青空の…

中日歌壇中日俳壇2021年5月16日

第38回都留市ふれあい全国俳句大会の高校生大学生の部にて〈映写機はマスクへ映す海の蒼/以太〉が【山梨県教育委員会教育長賞】と【正木ゆう子先生准賞】をいただいたけれど授賞式は中止と連絡があった。島田修三選第二席〈溶けやすき淡雪に似る詩語ひとつ…

中日歌壇中日俳壇2021年5月9日

中日俳壇で長谷川久々子選第三席だった、〈児を園に預けて妻と半仙戯/以太〉。島田修三選第二席〈一面の青麦畑を波立たせ郵便バイクが直線を引く/山本公策〉晩春のころから初夏にかけて田舎の畦道を走ると気持ちいい。第三席〈自動ドア開きたる間に菜の花…

中日歌壇中日俳壇2021年5月2日

島田修三選第三席〈歩くたびポニーテールが揺れてゐるロングブーツの佐保姫が行く/川面得英〉乗馬を連想させる語彙。〈八十路ゆく己が歯列の欠けるよう吉田の宿の煙草屋消ゆる/長屋孝美〉と〈八十路なほ埋めつくされた予定表兄貴はぶれずそのままを生く/…

中日歌壇中日俳壇2021年4月25日

島田修三選第三席〈花を見てをれば腹など立たぬと言ふ友は何見てゐたのだろうか/鈴木昌宏〉馬に人参よろしく花を提げていれば腹も立たないのかも。〈催花雨となりし夜来の雨上がり若き農婦のパステルカラー/北村保〉田園の色彩が豊か。小島ゆかり選第一席…

中日歌壇中日俳壇2021年4月18日

島田修三選〈滝田ゆう描きし日暮れの路地を行くふくら雀の如き老人/成田信行〉滝田ゆう? と思ったけど絵柄を見て思い出す。かわいらしい老人なのだろう。〈俺だよとカレーショップのネパール人マスク外せる桑名駅前/三井一夫〉桑名駅は懐かしい。乗り換え…

中日歌壇中日俳壇2021年4月11日

島田修三選〈ゆつくりと近づいてくる春の船眩しきものを山積みにして/後藤進〉スエズ運河封鎖以後だと海運のたいせつさに気づく。〈裏庭といふ言の葉の淋しさよ裏にも裏の春は来ている/稲熊明美〉小さな世界にも春がある。〈月光に浮かべる線路終点は亡き…

中日歌壇中日俳壇2021年4月4日

島田修三選第三席〈突風に捲かれ固まる園児らを花束のごと教師抱きしめる/神戸隆三〉色とりどりの帽子をかぶった園児たちだろう。〈この店のオススメ料理尋ねると「旨いもんはない」と言うなり店主/稲垣千草〉商売っ気のなさがおもしろい。小島ゆかり選第…

中日歌壇中日俳壇2021年3月28日

中日新聞一面にある平和の俳句より〈悲しむな顔を上げよと海の声/鈴木昭子〉。島田修三選第一席〈中学生の僕に出会ったような朝 黄色い花より春は始まる/坂神誠〉中学生のときの匂いを思い出す黄色い花かも。第三席〈濃みどりの音符に春を謳ひゐるごとき〈…

中日歌壇中日俳壇2021年3月21日

島田修三選第一席〈サドルよりゐさらひ上げてペダル漕ぐ少女ひちちかにわれを追ひ越す/高井佾子〉少女は十二単をまとっていてもおかしくない。第三席〈青空に僅かに撓む電線の渡る地の果て遠き旅路よ/植手芳江〉曠野を旅する感がある。〈ローンなどとんで…

中日歌壇中日俳壇2021年3月14日

島田修三選第一席〈ブラバンのロングトーンが溶けてゆぬ 夕暮れ 校庭 三角牛乳/鈴木真砂美〉「ロングトーン」の音の長さと懐古の余韻の長さとが字あきで表現される。第二席〈野良猫がひょいと垣根を越えて来るひょいがほしいな猫と目が合う/森真佐子〉「ひ…

中日歌壇中日俳壇2021年3月7日

中日新聞しずおかの一面に現磐田署長で、東日本大震災発生直後に静岡県警機動隊大隊長だった方の短歌が載っている。〈収容の何も語らぬ亡骸に 水筒の水そっと注ぐ/鈴木宏哉〉。歌壇は浜松市のふたりが第一席。島田修三選第二席〈E線をピチカートする指のご…

中日歌壇中日俳壇2021年2月28日

島田修三選第一席〈きっちりと固く布巾を絞りたり不手際ばかりの今日の終りは/永田紀代〉いろいろあっても終わりはちゃんと〆たい。〈とり出した電池の余力なき重み撤回できる発言ありや/外川菊絵〉電池の冷たい重みを手に感じながら日々を思う。小島ゆか…

中日歌壇中日俳壇2021年2月21日

第67回不器男忌俳句大会で谷さやん選と平岡千代子選で〈吹けば児の周りへ集ふしゃぼん玉/以太〉が入選していた。島田修三選第三席〈道三の裔に嫁ぎし祖母の姉穏やかなりき砺波に眠る/佐賀峰子〉評のように道三、砺波も気になるが投稿者の土岐市も想像を誘…

中日歌壇中日俳壇2021年2月14日

中日歌壇に投稿されている高津優里さんがNHK短歌に入選していた。島田修三選第一席〈バイクよりひらりと降りたる青年がヘルメット脱ぎ美少女となる/半田豊〉ヘルメットをとると長い髪が垂れていたら良い。第二席〈海よ鷗よ丘の上の蜜柑の樹よ空に詩集を放り…

中日歌壇2021年2月7日

島田修三選第一席〈豆を炊く香は部屋に満ちこの先は寺山修司はずっと年下/外山菊絵〉他の歌人や詩人の亡くなった齢を知りたくなった。第二席〈電話きて母の仮病に逢いにゆく青空のような嘘頷きに/小桜一晴〉昔は逆だったのかも。第三席〈深き秋色の褪せた…

中日歌壇中日俳壇2021年1月24日

ちなみに中日歌壇の賞は「天・第一席:図書カード二千円分」「地・第二席:図書カー千円分」「人・第三席:図書カード五百円分」となっている。中日俳壇も同じだろう。島田修三選第一席〈天と地に垂直平行くり返し空間区切る足場組む人/稲熊明美〉最近塗装…

中日歌壇中日俳壇2021年1月17日

島田修三選第三席〈図書館のレストラン暮れに閉ぢるとふ気に入りゐたるにこれも訃報ぞ/大谷登美子〉生活習慣が変わること、それも訃報なのだ。〈あんなにも親密だった人の名を半日かけて想い出す老い/水野千代子〉半日かける集中力がある。小島ゆかり選〈…

中日歌壇中日俳壇2021年1月10日

島田修三選第一席〈歪むとふ知恵を持たざる無垢のままメタセコイアの何千万年/前川泰信〉遺伝を知恵と表現したおもしろさ。古種への敬意がある。〈たどたどしき子の棒針に生き生きと余り毛糸の冬が始まる/山崎美帆〉「余り毛糸」と思ったけれどこれは「余…

中日歌壇中日俳壇2020年12月20日

小島ゆかり選は浜松市が多い。林建生さんが〈お互いに理解できぬと理解した夜空はきれい星は流れる/林建生〉〈白は白黒も時には白となり玉入れみたいにならぬ世の中/林建生〉とリフレインの皮肉が効いた短歌が一首ずつ入選している。島田修三選第一席〈給…

中日歌壇中日俳壇2020年12月13日

中日俳壇の長谷川久々子選にて〈浮寝鳥ぶつかりあつて人歩く/以太〉が入選していた。島田修三選第三席〈外国の力士の本名番付表に長きカタカナ呪文のやうなり/山下豊子〉見慣れない外国語を呪文と読む発想。〈小気味よく絹糸はじき縁側に孫の晴れ着の丈を…

中日歌壇2020年12月6日

NHK短歌の日、竹取りの翁と羽田空港の落差がおもしろい島田修三選第一席〈竹取りの翁になりて光る孫羽田空港に今見つけたり/豊田芙美子〉と角ばった頬骨を思わせる第三席〈まだ渋の抜けぬ柿の実を思はしむ青年の主張すがしみて聴く/久米すゑ子〉は、よ…

中日歌壇2020年11月29日

通読していると梶村京子氏、棚橋義弘氏、豊島芙美子氏などをお見かけして常連の方なのでは、と思う。島田修三選第二席〈枝つきのみかんぶらさげ姉来たる遠州弁をころがし姦し/小桜一晴〉青島みかんかな。〈降り来て手に乗りそうな金星を目指して歩む朝冷え…

中日歌壇2020年11月22日

野田秀樹の「赤鬼」を観終わった。島田修三選第一席〈この秋の一番の濃き鱗雲 雲の余白に靴下を干す/大場米子〉「雲の余白」は空ばかりではなく地上もそうだと思わせる。第二席と第三席が突然音楽で「曲名」シリーズ〈断捨離のゴミの中よりオルゴールの「く…