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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

新聞歌壇

中日歌壇中日俳壇2021年2月14日

中日歌壇に投稿されている高津優里さんがNHK短歌に入選していた。島田修三選第一席〈バイクよりひらりと降りたる青年がヘルメット脱ぎ美少女となる/半田豊〉ヘルメットをとると長い髪が垂れていたら良い。第二席〈海よ鷗よ丘の上の蜜柑の樹よ空に詩集を放り…

中日歌壇2021年2月7日

島田修三選第一席〈豆を炊く香は部屋に満ちこの先は寺山修司はずっと年下/外山菊絵〉他の歌人や詩人の亡くなった齢を知りたくなった。第二席〈電話きて母の仮病に逢いにゆく青空のような嘘頷きに/小桜一晴〉昔は逆だったのかも。第三席〈深き秋色の褪せた…

中日歌壇中日俳壇2021年1月24日

ちなみに中日歌壇の賞は「天・第一席:図書カード二千円分」「地・第二席:図書カー千円分」「人・第三席:図書カード五百円分」となっている。中日俳壇も同じだろう。島田修三選第一席〈天と地に垂直平行くり返し空間区切る足場組む人/稲熊明美〉最近塗装…

中日歌壇中日俳壇2021年1月17日

島田修三選第三席〈図書館のレストラン暮れに閉ぢるとふ気に入りゐたるにこれも訃報ぞ/大谷登美子〉生活習慣が変わること、それも訃報なのだ。〈あんなにも親密だった人の名を半日かけて想い出す老い/水野千代子〉半日かける集中力がある。小島ゆかり選〈…

中日歌壇中日俳壇2021年1月10日

島田修三選第一席〈歪むとふ知恵を持たざる無垢のままメタセコイアの何千万年/前川泰信〉遺伝を知恵と表現したおもしろさ。古種への敬意がある。〈たどたどしき子の棒針に生き生きと余り毛糸の冬が始まる/山崎美帆〉「余り毛糸」と思ったけれどこれは「余…

中日歌壇中日俳壇2020年12月20日

小島ゆかり選は浜松市が多い。林建生さんが〈お互いに理解できぬと理解した夜空はきれい星は流れる/林建生〉〈白は白黒も時には白となり玉入れみたいにならぬ世の中/林建生〉とリフレインの皮肉が効いた短歌が一首ずつ入選している。島田修三選第一席〈給…

中日歌壇中日俳壇2020年12月13日

中日俳壇の長谷川久々子選にて〈浮寝鳥ぶつかりあつて人歩く/以太〉が入選していた。島田修三選第三席〈外国の力士の本名番付表に長きカタカナ呪文のやうなり/山下豊子〉見慣れない外国語を呪文と読む発想。〈小気味よく絹糸はじき縁側に孫の晴れ着の丈を…

中日歌壇2020年12月6日

NHK短歌の日、竹取りの翁と羽田空港の落差がおもしろい島田修三選第一席〈竹取りの翁になりて光る孫羽田空港に今見つけたり/豊田芙美子〉と角ばった頬骨を思わせる第三席〈まだ渋の抜けぬ柿の実を思はしむ青年の主張すがしみて聴く/久米すゑ子〉は、よ…

中日歌壇2020年11月29日

通読していると梶村京子氏、棚橋義弘氏、豊島芙美子氏などをお見かけして常連の方なのでは、と思う。島田修三選第二席〈枝つきのみかんぶらさげ姉来たる遠州弁をころがし姦し/小桜一晴〉青島みかんかな。〈降り来て手に乗りそうな金星を目指して歩む朝冷え…

中日歌壇2020年11月22日

野田秀樹の「赤鬼」を観終わった。島田修三選第一席〈この秋の一番の濃き鱗雲 雲の余白に靴下を干す/大場米子〉「雲の余白」は空ばかりではなく地上もそうだと思わせる。第二席と第三席が突然音楽で「曲名」シリーズ〈断捨離のゴミの中よりオルゴールの「く…

中日歌壇2020年11月15日

杏林堂で産まれて三ヶ月もない乳児を前抱きにしたお母さんが丹念にカートを消毒していた。島田修三選第二席〈横町のちひさき空のおぼろ月ふふめば甘くほろほろくづる/西脇祥貴〉おぼろ大根を思う。〈カレーには外米が合うパサパサの母のカレーが食べたくな…

中日歌壇2020年11月8日

昨夜は〈母は云う私の生まれた経緯を林檎の赤を磨きつづけて/近藤尚文〉や〈ぼくにはぼくきみにはきみの名があって汐風香るその町へゆく/近藤尚文〉や〈鉄橋の真下でねむる冬の犬ただ星くずに降られぬように/近藤尚文〉といった輝かしい歌群を読み、今ま…

中日歌壇の十代

秋の中日歌壇で酒井拓夢氏の名を覚えた。まず2020年9月6日の小島ゆかり選第二席にその名を見つけた。〈生温い夏の夜からちぎれ来た小さき闇の如き黒猫/酒井拓夢〉評の「驚くべき十代の作者」には驚かなかったけれど、黒猫の流体性を「ちぎれ来た小さき闇」…

中日歌壇2020年11月1日

地理的な興味で、金沢市・磐田市・高山市・湖西市・伊賀市などの文字が中日歌壇に多く並ぶと嬉しい。島田修三選第一席〈面倒な話を持ち出すとき夫は一般論だと前置きをする/森田ちえ子〉私も、そう。君のことを言っているのではない。〈「ごめんね」を朝言…

中日歌壇2020年10月25日

この日は浜松市が三人、静岡県吉田町と飛騨市と桑名市が一人ずつ、他は愛知県。島田修三選にウーバーイーツ短歌が採られていた。島田修三選〈静かなる涼夜を列車は走りゆく君住む街へ繋がらん音/川村美恵〉空気が澄んで電車の音が遠くまで聴こえる夜。「繋…

中日歌壇2020年10月18日

中日歌壇*1は愛知歌壇と言ってもいいくらい愛知県の入選者が多い。中日新聞の購読者も投稿者も愛知県が多いからだろう。もちろん静岡県・岐阜県・三重県・石川県*2の入選者もいる。理論上は長野県・和歌山県・富山県*3・福井県・滋賀県の入選者もいてもおか…