以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇中日俳壇2021年5月2日

島田修三選第三席〈歩くたびポニーテールが揺れてゐるロングブーツの佐保姫が行く/川面得英〉乗馬を連想させる語彙。〈八十路ゆく己が歯列の欠けるよう吉田の宿の煙草屋消ゆる/長屋孝美〉と〈八十路なほ埋めつくされた予定表兄貴はぶれずそのままを生く/平田秀〉二首の八十路。小島ゆかり選第一席〈家族葬で済ますとポストに報せありますます見えぬ死とはなりゆく/岡本孝子〉死を隠す社会になりつつある。〈春雨の工場団地へ若者ら自転車連ね吸い込まれゆく/玉田さかゑ〉評に「工場団地に暮らす若者たちだろうか」とあるが、工場団地には工場しかないものなので出勤か昼飯帰りの若者らだろう。「季節の潤いと生活感」は間違いない。長谷川久々子選〈合格子地球を蹴つて飛び上がる/佐藤賢児〉宇宙へ飛び出す感じがある。〈登校の児に並び立つ松の花/松矢しのゑ〉名前がいい。