島田修三選第一席〈きっちりと固く布巾を絞りたり不手際ばかりの今日の終りは/永田紀代〉いろいろあっても終わりはちゃんと〆たい。〈とり出した電池の余力なき重み撤回できる発言ありや/外川菊絵〉電池の冷たい重みを手に感じながら日々を思う。小島ゆかり選第二席〈ゆらゆらと雪が舞い散る時短期の居酒屋前を赤く照らして/伊藤敦〉赤提灯の灯を映しているのだろう。栗田やすし選第二席〈ふらここの揺れを残して登校す/野崎雅子〉朝から元気なのは春ゆえ。〈走り根の太き坂道芽吹き山/広中みなみ〉坂道だから走り根は太く張るのか。樹の生命力を感じる。長谷川久々子選〈囀や神木にして連理木/吉村倫子〉「連理木」に木肌の艷やかさを感じる。