以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇朝日歌壇2021年6月13日

中日歌壇

島田修三選第二席〈助詞一字迷いながらもポストまで投函止めて葉書と帰る/築山恵美子〉葉書を寝かせるの、大事。〈はじめての赤いウィンナー都会の味早大生と少し飲んだ日/梶村京子〉都会にまちとルビ。赤いウィンナーが好きな世代がいる、父もそう。小島ゆかり選第一席〈五月晴れ飛行機雲が真っ直ぐに空を射抜きて弓道行かむ/小倉一修〉弓道の意外さにハッとなる。第三席〈妹の法要なれど道中の桜満開大地は息吹く/塚本かね子〉良い法要でありましたように。最後にコロナ禍短歌二首〈誰も誰もマスクの中にいつぱいの言葉溜めつつコロナ禍を生く/山田郁子〉〈感染者のいまだ皆無の村と言う新茶を買いぬ美濃白川茶/鈴木一輝〉感染者皆無の村なんてまだあるんだ。

 

朝日歌壇

高野公彦選一首目〈蜘蛛の糸みたいに細き電話線ワクチン求め犍陀多になる/箱石敏子〉〈結局はワクチン獲得戦争に負けたということ早い話が/戸沢大二郎〉敗戦を認める勇気。永田和宏選〈吾が歌の載りし裏面はスポーツ欄妻が切り抜く大谷翔平/戸沢大二郎〉笑う。〈選者らの指紋気になる三千のゆりの花咲く投稿の山/沼沢修〉官製はがきは山百合、なるほど。〈コロナの世しか知らない子どもたちが歩き出し話すようになった/上田結香〉確かに。うちの二歳はアルコール除菌と額での体温測定は慣れたもの。佐佐木幸綱選〈閉店に勝手ながらと書く店主行間にあるそのやるせなさ/三神玲子〉でもそのやるせなさは書けない。ただ飲み込むだけ。〈実習生ラマダン終えて久々に弁当広げ昼餉共にす/羽鳥健一郎〉インドネシアやマレーシアからの実習生かな。