以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇朝日歌壇2021年6月20日

中日歌壇

島田修三選第一席〈雨ののち一方的に少年が恋したような夕焼けの街/坂神誠〉情熱だけの赤。かつての激しい思いが込められているような。第二席〈祖母の名は〈はん〉と〈とせ〉なり今の世のきらきらネームもやがて伝説/冬森すはん〉伝説にレジェンドとルビ、確かに昔は入鹿とか不比等とかいたわけで。〈つるりんとラベルの剥けたガラス瓶すべては取越し苦労であった/塩谷美穂子〉ラベル剥きに苦労するはずだったけど意外と簡単だった、あるある。小島ゆかり選第一席〈茶畑の若葉が萌えて東風わたる渥美半島海に突き出る/中治正行〉どこから見た景か気になる。新城か豊橋あたりか。第二席〈宝箱パンドラの箱玉手箱何が開くか東京五輪/玉井浩子〉二番目の箱が怪しい。〈行列し先着順に受付し予約分だけ あとは切り捨て/酒井正二〉金沢市のコロナのワクチン接種会場だろう。〈載らないとボヤく私に友が言う「投稿しなよ」と「脳トレだよ」と/杉浦るみ子〉なかなか載らないよね。

 

朝日歌壇

天声人語に〈世の娘半分は父を嫌ふとぞ猫を撫でつつ答へむとせず/宮近伸一〉、永田和宏選〈茂吉越えし猿羽根峠の朝あけに出羽富士紅く雪ほそる見ゆ/沼沢修〉「雪ほそる」で夏を感じる。佐佐木幸綱選第一首〈薄切りのレモンに蜂蜜垂らしゆくとろりとろりと暮れてゆく春/永井雅子〉はちみつレモンを飲みたくなった。〈行き急行帰り各停結婚の許可得た喜びかみしめるため/米谷茂〉おめでとうございます。