以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇朝日歌壇2021年6月6日

中日歌壇

島田修三選第一席〈どこまでも中央分離帯に茅花揺れこの世もあの世もなきがごとしも/冬森すはん〉現代の構造物と茅花の対比は〈地の果のごとき空港茅花照る/横山白虹〉にも。空港は空と地上を分けてキリスト教的だが、中央分離帯は彼岸此岸への連想が効いており仏教的だ。小島ゆかり選にも〈言の葉は交はさぬなれど滑り台の幼は幼にしづしづと寄る/冬森すはん〉が入選、一緒に遊びたいから近寄る。でもなんて言って良いかわからない。第三席〈幼稚園の跡地に建ちし特養に赤いブランコ残してありぬ/江島伸子〉昔はそのブランコを漕いだことがある人が今は利用者となっているかもしれない。〈母の日に花を贈れば仏壇の母の母にと捧げたる母/板倉亜澄〉十もH音。小島ゆかり選第三席〈黄砂ふりさくらはセピアの色となり村は古びたアルバムと化す/平岡孟〉アルバムを閉じて村が終わるような。〈パレットの全ての色を使うごと園のパンジー艶やかに咲く/那須勝美〉色彩の豊かさ表現。〈新聞の歌壇くまなく愛読す人の心を旅する想い/高岡勉〉共感。

朝日歌壇

佐佐木幸綱選〈寡黙なる人で溢れるコロナ禍のハローワークと云ふ密に居る/池田雅一〉ハローワークに通い詰めたことがあるので寡黙になる理由は、分かる。〈目の前に聞いてたよりも青い海入部2年目初めましての現地時間/大野麗〉水泳部の遠泳だろうか。高野公彦選〈婉然とつばきは咲きぬゴミとしてビニール袋につめこまれなお/山内仁子〉落椿となってなお。永田和宏選〈屋久島のその大いなる屋久杉は人を好いてはいない気がする/十一〉作者名はつなしはじめとルビ、屋久杉にはトトロ的な包み込むような感じはない。馬場あき子選〈虐使する企業見分けるポイントを説いて生徒と求人票繰る/高田明洋〉求人票は謎謎、先達と検分することが大事。