以太以外

空の色尽きて一月一日に/以太

2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

所以204

袋詰めした詩の粉末をとっさに隠し(岡本啓「一点の自画像」『ノックがあった』河出書房新社) 石を投げ上げてごらん/しわひとつないそらに(岡本啓「百年のリハーサル」『ノックがあった』河出書房新社) 国の名は繰り返し呼ばれているのに あなたの名はわ…

鈴木総史『氷湖いま』ふらんす堂

ものの名を問う句集だろう。〈加湿器がみづ吐き終へる夜明けかな/鈴木総史〉加湿器の水がある時間こそが夜なのかもしれない。〈花冷や流れぬものに堀のみづ/鈴木総史〉変わる花と変わらないように見える堀の対比。〈雨音は雨におくれてリラの花/鈴木総史…

所以203

論理がないとユーモアは存在しない。 漫才の基本は「偶然の立ち話」です(石田明『答え合わせ』マガジンハウス新書) 「設定の中の役柄と素の自分を行き来する」のは漫才コント、「設定の中の役を演じ切る」のはコント漫才(石田明『答え合わせ』マガジンハ…

中村和弘『荊棘』ふらんす堂

古い季語に新しい味わいをもたらす句集かな。〈パイプ椅子耀く下に蝶死せり/中村和弘〉体育館だろうか、硬さと柔らかさの対比。〈キリンの脚の巨き関節夏に入る/中村和弘〉キリンの足音も響く。〈ゼッケンの布ざらざらと秋日かな/中村和弘〉運動会の気配…

所以202

2つあるいはそれ以上の性別があったとしても、「平和は大切か?」の問いかけへの答えがひとつしかないならば2つ目以上の性別は不要だという態度。 知覚しうる感情とは具体物で代替可能なものでしかない。 本質意思 (Wesenwille)による共同体=ゲマインシャフ…

麦芽糖2025年1月号

麦芽糖・序 今年から、われらが『麦』は1・2月合併号となり、同人にも1冊しか郵送されなくなった。麦の存在感を出すためと会の今後のため、そして自らのために『麦』を読み尽くそうと考え、この麦芽糖をはじめる。読むのはおもに『麦』表紙2・特別作品・踏生…

所以201

第39回俳壇賞は予選通過。 今回の注目・印象句として掲載は、井上弘美選〈春隣落丁のあるチェコ絵本/以太〉、鳥居真里子選〈水着のまま足でひらいた文庫本/以太〉(『俳壇』2025年2月号) 若くて反抗的でなければ知性が足りない。老いて保守的でなければ思…

所以200

毎日俳壇2024年1月13日小川軽舟選〈百貨店跡地は白し北颪/以太〉 wayra educa película 小さな皮革・薄皮→フィルム・映画 詩歌は事象への研究だよ ファシズムは重層構造として現実に入りこんでおり、現実を構成している。場合によっては、ファシズム批判を…

所以199

「人は歴史に見捨てられると、地理を援用する」(松田政男「風景としての都市」『風景の死滅』航思社) 歴史か地理かを二者択一として提出する思考法こそが、まさに提出者の内面に刻印されてしまっている歴史的思考法なのだ。この種の思考法の所有者は、した…

所以198

センスが良いと思われたいなら、スローモーションは控えめに。(リュドック、坂本千春訳『映像クリエイターのための完全独学マニュアル』フィルムアート社) 画像の中でモニュメントを大きく見せるために、カメラを何メートルか後ろに下げてズームしてみて。…

所以197

同様に「氷」も俗字らしい。本当は「にすい」に水と書いて「冰」と表記すべきなのに、崩れて「氷」になったそうだ。(「姦」という漢字はどう読むのが正しいのか…「平安時代の辞書」に記されていた"すさまじい読み方") 村上春樹を否定してその上に立つフェミニ…

藺草慶子『雪日』ふらんす堂

静岡新聞の新春読者文芸で〈手に金箔年賀はがきを完配す/以太〉が入選した日に『雪日』を読む。〈祈りけりわが白息につつまれて/藺草慶子〉白息が神秘的な雰囲気をつくる。〈すれちがふ巫女に鈴音花きぶし/藺草慶子〉花のすがたかたちと巫女の音とが合う…

所以196

Bronko Yotte チリのラッパー 枝梧、逆らうこと 2024年1月3日(金)静岡新聞新春読者文芸、恩田侑布子選〈手に金箔年賀はがきを完配す/以太〉 その後は、米ロ間の駆け引きですべてが決まる。ウクライナがこの外交ゲームの当事者でないことが可視化されるこ…

所以195

群集multitudoは「政治論」第二章に。populusでもvulgusでもplebsでもなく多数の人間集団を指示する。 人間たちが共同の法を有し、全員があたかも一つの精神によってのように導かれる場合、彼らの一人ひとりは、自分以外の者たちがいっしょになって力能のう…