以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

『鈴木裕之俳句集』昭和年間、海坂発行所

昭和年間の句を読む。〈栗園に花の渦まく農学部鈴木裕之〉○学部の句は好き。〈真菰刈りて月に火星の隣り合ふ/鈴木裕之〉真菰生ふ川から天の川、宇宙を連想する。〈明日登る峰尖りをり吊し柿/鈴木裕之〉筆柿だろう。〈島々に民話多しや枇杷熟るる/鈴木裕之〉民話とその民話からの派生とそれらの複合としての民話と。〈夕顔の蔓まつ青に震災忌/鈴木裕之〉まつ青は感情だろう。〈京丸の平家の山の男郎花/鈴木裕之〉京丸は北遠の地。平家の落ち武者伝説がある。〈囀りへ円形ポスト口を開く/鈴木裕之〉囀りとは対象的な、声なき口を開ける。〈酒倉に風行きづまる終戦日/鈴木裕之〉風は酒倉で絶える。