以太以外

空の色尽きて一月一日に/以太

竹岡佐緒理『帰る場所』ふらんす堂

フォントのいい句集だ。〈校庭に教室の椅子運動会/竹岡佐緒理〉終わってから雑巾で脚をふくのも非日常感がある。〈冬の蜂死んで授業の再開す/竹岡佐緒理〉きっとひと悶着あったのだ。〈ストーブの灯油の匂ふ保護者会/竹岡佐緒理〉すこしトゲトゲして緊迫感がある。〈巫女さんは教へ子ばかり初詣/竹岡佐緒理〉せまいまちで。〈野水仙フェリーは北へ消えてゆく/竹岡佐緒理〉海岸の向きが南北なのだろう。九州か、三陸・福島・東関東か、出羽か。〈レモンスカッシュ約束は破るべし/竹岡佐緒理〉S音が心地いい。〈夕立へ突っ込んでいく配達員/竹岡佐緒理〉バイクの配達員だろう。〈漢詩の韻ラッパーの韻秋の夜/竹岡佐緒理〉人類の魂は時を超えて直列。〈観た映画ばかり見てゐる三日かな/竹岡佐緒理〉退屈ここに極まれり。〈囀やキッチンカーに焙煎気機/竹岡佐緒理〉聴覚と嗅覚の句だ。〈あんぱんの臍の桜と春の海/竹岡佐緒理〉ひろい句、濁りも感じるし華やかさも感じるし、それらの根底に母がいる。〈ゆるキャラの足の短き炎天下/竹岡佐緒理〉着眼点がおもしろい。〈東京に文学ありぬ鶏頭花/竹岡佐緒理〉これは根岸ですね。

茄子焼いて一番星の時間かな 竹岡佐緒理