以太以外

空の色尽きて一月一日に/以太

大木あまり『山猫座』ふらんす堂

〈病身にシャネル一滴寝正月/大木あまり〉間の抜けた矜持みたいなものを感じる。〈蟻地獄郵便物がどさと来る/大木あまり〉これからはじまる郵便処理地獄を思う。〈峰雲や離れ家のごとしんとして/大木あまり〉雲が離れ家という発想はおもしろい。〈蝶の去る野のなだらかに西日かな/大木あまり〉蝶の去った痕跡を照らす、穏やかな西日がいい。情景俳句だ。〈鯛焼の王と呼びたき面構え/大木あまり〉奴隷王朝の王みたいなニュアンス。〈納骨や小魚ひかる冬の川/大木あまり〉うん、よくわからなそうで感じの伝わりそうな具象、いいね。水の少ない感じ。〈水底の石のたひらに七五三/大木あまり〉うん、脇社に厳島神社があるのだろう。いい感じ。〈落ちさうな牛の乳房よ春の草/大木あまり〉「落ちさうな」は新しい。〈トラクターに蝶待つごとく寄りかかり/大木あまり〉トラクターがいい、土に汚れていたらなおいい。

銀河にも句会あるらし出句せよ 大木あまり