以太以外

空の色尽きて一月一日に/以太

三村純也『高天』朔出版

〈人に尾のありし頃より山椒魚/三村純也〉はるかむかしからの詩的な言い方。〈曲るたび路地暗くなる秋の暮/三村純也〉「~たび」はよくあり「曲がるたび」も頻出だけれど好みな俳句表現。〈動く看板光る看板十二月/三村純也〉暗いなかでも目立つ看板たち、年末の賑わい。〈一番湯浴びて道後の朝桜/三村純也〉晩春にさっぱりしていた。〈鴨鍋や湖賊の話聞きながら/三村純也〉山賊・海賊・水賊ならぬ湖賊。〈チューリップ開いて何も飛び出さず/三村純也〉否定形を使う俳句はここまでやりきればいいのかという発見がある。〈葉桜や箸は先より古びゆく/三村純也〉うん、つながりそうでつながらなそうな桜の樹と箸の付け合わせ、いい。〈動脈も静脈もある鶏頭花/三村純也〉そう鶏頭花は雄雌ではなく動脈と静脈に分けられる。〈次が咲くから凌霄花の散つてゆく/三村純也〉生命の奔放をあの花の色からは感じる。次から次へと。