以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇2021年9月26日

 

島田修三選第一席〈「八十歳にもう手が届く」とつぶやけば「長い手だね」と娘にさすられる/塩谷美穂子〉八十歳にはちじゅうとルビ。「手が届く」の意味を二重にとるおもしろさ。作中主体の立ち位置を考えさせられる。〈鍵盤の黒が少ない朝礼の横一列のマスクの署員/成田信行〉鍵盤に譬えるくらい揃っている。小島ゆかり選第一席〈退陣に追い込みおきて沈痛な「おどろきました」は政治家の弁/加藤直子〉政治の言語は日常の言語とは異なる。第二席〈パラ五輪の折れない心持つ人ら頂点にして裾野は広い/白沢英生〉頂点が高ければ裾野はより広くなる。〈障害を持つ娘には日常を壊すパラリンピック放映/上竹秀幸〉新しい挑戦が生まれたのか、それとも。