以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

玉葉和歌集の冬

都田図書館へ行ってみたくなった日、「冬」部分を読む。〈おのづから音する人もなかりけり山めぐりする時雨ならでは/西行法師〉さびしさのはてなむ国ぞ。〈神無月時雨飛び分け行雁の翼吹き干す峰の木枯らし/後鳥羽院御製〉「翼(を)吹き干す」の技巧は写実を超えるほどに映画的。〈夕時雨嵐に晴るゝ高嶺より入り日に見えて降る木の葉哉/よみ人しらず〉橙の薄日にちらちら散る木の葉が見える遠景、美しい。この遠景のちらちらする複数色の美しさは〈暮れかゝる夕べの空に雲さえて山の端ばかり降れる白雪/前大納言為氏〉も。〈落ち積もる木の葉ばかりの淀みにて堰かれぬ水ぞ下に流るる/平宗泰〉清濁、動静の対比がある、〈早き瀬は猶も流れて山川の岩間に淀む水ぞ氷れる/権中納言公雄〉とも。〈時雨降る山のはつかの雲間より余りて出る有明の月/前大納言為家〉「余りて出る」という描写の力だ。〈淡路島瀬戸の潮風寒からし妻問ふ千鳥声しきるなり/前参議経盛〉淡路は逢はじ、地名と境遇と。〈下折れの竹の音さへ絶えはてぬあまりに積もる雪の日数に/民部卿為世〉音の絶える雪の深さと竹林の奥深さ、青と白、明と暗とが映える。