以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

放送大学「文学批評への招待」第11章フェミニズム批評(1)

学習課題1 ケイト・ミレット『性の政治学』を図書館などで借りて、著者が男性作家の性差別主義的な描写をどのように批判しているか、確認しよう。

「性の政治の諸例」としてケイト・ミレットはまずヘンリー・ミラー『セクサス』の叙述文を引用し、それに含まれる性差別的主義的な描写を「その場面全体はまるで一連の戦略のようであり」とする。そして、一文ごと一語ごとにその策略を暴く。「恥毛(マフ)」の隠語としての意味やアイダについての「動物じみた自己抑制のなさ」の描写と対照的なヴァルの「落ち着きぶり」やすみやかに変わる体位などを分析して『サクセス』という作品に「男性優位の主張」を見出す。さらに、それらをケイト・ミレット自身の用語である「性の政治」を用いて「交接(コイタス)という根元的レベルにおける性の政治の一例である」と断定し、批判する。あたかもヘンリー・ミラーが、父権制イデオロギーに則り、男による女への支配を確固たるものにするような教育的意図を文学的動機として執筆しているかのように思わせる。もしヘンリー・ミラーの執筆活動が父権制イデオロギーを推進するための、その通り、性の政治でありイデオロギーのための戦闘なのだとしたら、ケイト・ミレットのフェミニズム批評という文学批評の手法もまた性の政治であり、革命であり、そして終わることのない性間戦争となる。