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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

所以124

  • 特定の宗教を信じないまでも、人間が持つ能力の限界を知り、自分や他者の責任感や罪悪感を神と呼ぶ存在しないものへ仮託することで、自分の精神にかかる負担を減らす技術が宗教。
  • スピノザもまた
  • 麦メール句会
  • 見えすぎるため世間とずれて詩人になる人と見えなさすぎるため世間とずれて詩人になる人とがいる。
  • 見えなさすぎる詩人の政治談義ほど不毛なものはない。
  • 使われないトルコ語。hangim「私たちのうちの誰」、hangin「君のうちの誰」
  • 共感型社会は優れた遺伝子を遺せないのでゆるやかに衰退していく。まったりとした老成社会も悪くないけれど。
  • ソクラテスみたいな突飛な発想の持ち主と暮らしたら生活の先行きが見えないのでクサンティッペも怒って当然だ。
  • 悪妻が哲学者を生むのではなく、哲学者が悪妻を生む。
  • ポリティカルコレクトネスな表現だと悪配偶者か。
  • 春去者 宇乃花具多思 吾越之 妹我垣間者 荒来鴨(春されば卯の花腐し我が越えし妹が垣間は荒れにけるかも)
  • 映画「花腐し」さとうほなみの黒ずみ乳首、父への希求、栩谷のハイライト
  • 오이소쥬、焼酎の胡瓜割
  • 映画「愛にイナズマ」の家族愛とアベノマスク
  • いま声を抑圧されているのはフェミニズムへ抗する者やLGBTqの風潮へ抗う者の声であり、戦中においてかき消された庶民の声のようにならないよう彼らの声を後世へ遺さなければならない。
  • 論理は共感を否定する。共感は論理的に正しくないけれど共感しあうことそのものを正しいとみなす独裁者の思想。
  • 指揮系統を失って日本の山野にちりぢりばらばらになった軍隊の一部は、食糧を求めておそらくは武装強盗団のようなものになるであろう(堀田善衞『方丈記私記』ちくま文庫
  • 近衛氏から見れば、戦争継続を主張するものは共産主義であり、憲兵から見れば平和を主張するものは赤である。(堀田善衞『方丈記私記』ちくま文庫
  • 日本の長きにわたる思想的な蓄積のなかに、生ではなくて、死が人間の中軸に居据るような具合にさせて来たものがある筈である(堀田善衞『方丈記私記』ちくま文庫
  • 臠(みそなは)す>見る
  • このように責任ということとまったく無関係な体制はすでにこの当時において完成している。(堀田善衞『方丈記私記』ちくま文庫
  • ヴァルカナイズ製法(加硫製法)
  • 安堵感を与える音は、屈折、透過を経ていること、そして永遠に続くだろうという予感と期待を含んでいることの二つだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 動物実験の結果は人間社会へ当てはめられない。
  • 哲学は哲学で食べるのでなければ何人もの哲学者を読まなくても17世紀以降の一人に絞るだけでいいし、言語も英語以外のひとつの言語に絞るだけでいい。
  • 「迎合メール」という被害者が被害者らしくいられるための詭弁
  • 素人はどんな批判を言ってもいいけれど他人へ責を問うてはいけない。
  • 具体的な意味を表す部分が最初にあり、その後ろに抽象的な意味(否定・疑問・時間や推量)を表す部分が続き、最後に主語の人称と数を表す部分が続く。このような順序は、トルコ語のほぼすべての文に共通して見られる。(林徹『トルコ語文法ハンドブック』白水社

所以123

  • 科学技術が役に立つと人々に思わせるために詩歌文芸が要る。
  • 郵便料金値上げは政府や日本郵便だけの問題ではなくて過半が福沢諭吉由来の共同体アナーキストである日本人の公意識の問題でもある。
  • ハガキしか入らないおしゃれなだけの郵便受箱・公道に面していない住人の便しか考えていない郵便受箱・旗竿地の家・ドアポスト・一度でも入れた苦情・月曜日午前の再配達時間指定、どれかに当てはまる人は郵便料金値上げを批判できない。
  • 先端技術に支えられた新部族社会を俺達が作りあげるのだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 指桑罵槐
  • 合意によるパワーに代わるものは、スピードによるパワー以外にはありません」(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 伝統的な芸術と社会を否定し、新しい時代にふさわしい機械美やスピード感、ダイナミズム(力強い動き)を賛美した。その背景には産業革命以降顕著になった、工業機械文明と急速な都市化がある。(未来派(イタリア未来派) Futurism, Futrismo(伊))
  • 肏=操
  • 堅決服従佤邦連合党的正確領袖
  • 湖上自衛隊の湖将になりたい。
  • 物語が必要だ。現代の価値観が通用しない血沸き肉踊る物語が。春秋左氏伝・項羽と劉邦三国志水滸伝平家物語太平記
  • ydhなどアマゾンamazonでよくわからない配送会社の追跡番号を調査するときは17track
  • 安能は「彼と面識があったから言うわけではないが」と述べ,廖文毅と直接の関係を有していたことを明言したうえで,「廖文毅も人間だから,人間的な欠陥や性格的な瑕瑾は免れなかったが」と保留をつけながらも「たしかに一代の英雄であった。恐らく台湾人としては不世出の英雄である」と絶賛に近い言葉を残している。皮肉屋で冷笑的な安能としては例外的と言って良い。(中塚亮「台湾人作家としての安能務と,その編訳『封神演義』の特徴について金城学院大学論集人文科学編第19巻第1号)
  • ここでは,安能が廖文奎や廖文毅,台湾共和国臨時政府に近しい,台湾出身者ないし台湾人だったのではないかというところまでにとどめ,今後の解明に期待することとしたい。(中塚亮「台湾人作家としての安能務と,その編訳『封神演義』の特徴について金城学院大学論集人文科学編第19巻第1号)
  • 速度が提供した快楽を味わった者にとって、停滞は死と同じだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 巨大なる祈り
  • 生態系が要求する地球の加療は痛みなしでは行うことはできない。選別と淘汰が必要だ。俺達はその選別と淘汰の基準を決め新しい価値観を膿むのではないのだ。選別と淘汰を無理に遠ざけようとする試みを潰すだけだ(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫) 
  • 肉体は解決不可能な危機にみまわれたとき病気の中に退避する。(村上龍コインロッカー・ベイビーズ講談社文庫)
  • このように道徳が生の秩序に属しているなら、人間は、その社会的生命秩序の保持について、「知」の一存ではどうにもならない動物的嗅覚を備えているといえよう。(中村良夫『風景学入門』中公新書
  • 他者の住まいのおもしろさは、まず外構部、つまり「人境」の縁にある。(中村良夫『風景学入門』中公新書
  • 新しい風景の創造といっても、いわば、終りのない連句の「発句」に甘んずる覚悟が重要といえる。(中村良夫『風景学入門』中公新書

所以122

  • 家臣団がダメなら官僚集団が欲しい。戦中に敗戦後をsimulateしていた内務省のような。
  • 特別高等警察は思想警察のことで、政治警察が政治活動という外面にあらわれるものを取り締まるのに対し、思想警察は思想の内面までも取締りの対象にする点でおおいに異なる。(百瀬孝『内務省PHP新書
  • 生の悲劇的な性質、これこそシオランの思想の根底をなすものだ。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 民集産主義と大衆独裁によって達成される国民革命によって
  • では博士論文を書かずにシオランは何をしていたかというと、彼は自転車でフランス中を回っていた。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • テレビと四輪車の生活は身の丈に余る。ラジオと原付自転車で十分だ。
  • 怠惰の高貴さ
  • そもそも行為そのもの――何かをすることそのものの拒否こそが、怠惰なのである。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • つまり簡単なことで、何もしなければ悪は起きないのだ。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 悪は悪をしたいからなされるわけではなく、した結果がたまたま悪になってしまう。
  • 善や正義を高らかに掲げる人間がしばしば人を傷つけ、殺人さえ厭わないというのはもはや常識と言っていいだろう。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 反戦を実現するためには反戦を叫んではいけない。反戦を唱えずにはいられない行動力が戦争を生む。
  • 行為の拒否である怠惰を自らのなかで大切にしている人は、行動が至上であるという前提を持っていない。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 自殺だけが、選択して生まれてきたわけではない私たちに可能な、唯一の返答だ。それはこの世界に対する最後の報復でもある。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 老子シオラン
  • 生彩ある対立劇を生じさせない国家や民族は、人の注意を惹かない。人が国や民族を記憶するのはなんらかの事件による。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 敵を作り出すことによって、敵対感情が私たちを鼓舞するのに加え、敵は私たち自身を律する効果もある。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • Ethnologue
  • 劉野
  • 本当に中立の立場とは、あらゆる立場から距離をとり、あらゆる立場にコミットしないことではないだろうか。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 対立を少しでも減らしたいのならば、言い換えれば善良になりたいのならば、私たちは衰弱を推し進めなければならないというのがシオランの考えだ。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 生き生きした民族は排他的であり野蛮だ。対して衰弱した民族は文明的であり、自由と寛容を生みだしている。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 自由社会はその成員が堕落していないと維持できない。そしてその政治体制もある程度腐敗している必要がある。なぜなら、堕落した社会は、他人の堕落にも寛容である一方で、一切堕落を許さない政治体制とは、他人にも堕落を許さない、不寛容な政治体制だろうから。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • 奴隷状態に落ちた暴君が暴動を起こす、だから抵抗派へ希望を託すのは甘い。
  • 病気になってその臓器を認識するなら、健康な人というのは自分を認識していない人。
  • みんなが幸福になり、快楽を得なければいけないという嘘を信じるのは苦痛だ。(村山龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 死には肯定的側面があるということだ。敗者にとって死は解放だ。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)
  • ペシミズムの中途半端さとは、生を嫌っているのに生きざるをえないところだ。(大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに』星海社新書)

所以121

  • エルドアン政権は、命の危険から逃れてくる人びとを無下に追い返すことがイスラム的道徳に反すると考えていたのである。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • 弱者の救済に熱心に取り組む。これは、民族を超越するイスラムの教えであり、イスラムの価値である。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • hamsi カタクチイワシ
  • ırk 言語や文化を絆とする集団。beyaz ırkは白人種、ırkçıは人種差別主義者
  • laiklik、トルコの世俗主義。laïcité、フランスの世俗主義
  • 女性も徴兵されるイスラエルとハマースやイスラーム諸国とではどちらがフェミニストに親和的か。
  • 憲法九条護持のための核武装中立。
  • 軍がよく使ったのはdinci=宗教屋、もしくはirticacı=反動主義者だった。国民の大半がムスリムである以上、イスラム主義者=İslancıという表現は避けていたのである。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • れいわ新選組が元気なのは政権をとるつもりがないから。
  • 天皇制にしろスーパーコンピューターにしろ、そのような装置を持っているから人間は偉いわけではない。他の動物にはそのようなものを持つ必要がなかっただけだ。俺は、人間を動物へと戻す。文明を破壊するわけではない。区別し、分類し、整理し、再統合するだけだ。(村上春樹『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • ヒューマニズムとは、どこかに飢えた子供が確実に存在するという事実を認めないイデオロギーだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 積立投資とかはじめると、どこかで新たに戦争起きないかな、とか思ったりする。
  • ヨーロッパからのイスラム嫌悪(イスラモフォビア)、トルコ嫌悪は、過去二〇年!鎮静化していない。それは二〇二三年の大統領選挙に関する報道にも顕著に表れていた。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • メモランダム、覚書、muhtıra
  • 世俗主義が民主的な体制の根幹にあると主張しながら、世俗主義を守るために軍の力に頼るのであれば、そもそも民主主義が成り立たないからである。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書) 
  • トルコ共和国という不可分の一体である国家とクルド人
  • PKKへのトルコ側の呼称はapocı
  • キャロムcarromアプリで知らない国の人とオンライン対戦するの楽しい。彦根カロムとはルールが違う。
  • 2023年、エルドアン政権の利下げ。
  • エルドアン政権は、その常識よりも、イスラム的倫理としての弱者救済の方をとった。彼は、中央銀行の独立という大義名分よりも、貧困層の破産を防ぐ方に重きを置いたにすぎない。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • もともと商取引と政治の話を分けるのは、この地域で何世紀にもわたって積み重ねられた知恵である。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書
  • クルド人たちは、就労目的であっても、手厚い保護を受けられる難民の地位を求める。PKKの活動家たちは、その支援と引き換えに同調者を増やす戦略をとったのである。(内藤正典『トルコ 建国一〇〇年の自画像』岩波新書

所以120

  • 日本の政治的スペクトルを思想で分けると実態を捉えなれない。どちらの側に立つかで分けるべき。
  • 徳川と憲法9条は保守、豊臣と長州閥は革新など。
  • LexioNeo、韓国発の麻雀×ポーカー×大富豪なボードゲーム
  • 以暴易暴
  • 急速な西洋化に多くの国民は戸惑いを示した。特に地方の保守的な層にその傾向が強かった。(今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く』平凡社新書
  • トルコにとってアタチュルクが保守であり、親イスラームは革新なのだが、オスマン時代に復るという意味では保守である。日本と同じネジレが生じている。
  • 長い間事実上の自治謳歌してきたクルド人オスマン帝国の「良き臣民」であり、オスマン帝国に対して好意的であった。(今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く』平凡社新書
  • 自然発生集落・一晩で建てた小屋gecekondu
  • ANKAmall
  • boza 黍の醗酵飲料
  • allah sağlık para aşk versin amin.
  • DOST、トルコはアンカラの本屋
  • 高級ホテルの立地は時の政治の中心地を明らかにする効果を持っている。(今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く』平凡社新書
  • いつまでもホロコーストのことを持ち出して被害者面して他の集団を見下しているイスラエルは日本のフェミニストに似ている。
  • 白熱した人格そのものとなった意志だけが、霧の中の反乱軍を、映像ではなく現実のものとすることができる。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)
  • 一九六八年四月にアンカラ大学神学部で米国のヴェトナム戦争に反対する反戦運動、そして米国と同盟を結ぶ政府批判が起こり、この動きが全国の大学に波及した。(今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く』平凡社新書
  • 〜トルコの外交は、指針はあるものの、全方位的で比重の置き方が変わりやすく、摑みづらい。しかし、それは複数地域の結節点であり、自身の地政学的特徴の長所と短所を知り尽くしたトルコの政策決定者たちによる地域および国際社会で生き抜くための極めて現実的な外交の実践であると言えよう。(今井宏平『トルコ100年の歴史を歩く』平凡社新書

小川軽舟『無辺』ふらんす堂

かつ丼の蓋の雫や春浅き/小川軽舟〉春の雪が溶け、湿り始める気配をカツ丼の蓋の裏に見つける。〈/小川軽舟〉〈春郊の道あつまりて橋一つ/小川軽舟〉いいな。道の集まって橋となる様は確かに春めいている。〈新しき街に寺なしチューリップ/小川軽舟〉人工度の高い街に死の匂いをさせる寺はない。そこへ中央アジア・トルコ・オランダから外来植物であるチューリップを合わせた趣き。〈バーベキュー薫風汚すこと楽し/小川軽舟〉季語の粗雑な扱いが愉悦。〈アトリエに暮らすモデルや雪の朝/小川軽舟〉このモデルはたぶん裸に毛皮を着ている。〈ドア開けて待つタクシーや蝶の昼/小川軽舟〉蝶がそのまま客になりそう。〈街宣に美青年あり実朝忌/小川軽舟〉暴力ではなく言葉の暴力で。〈蜜豆や出てみたかりし文学部/小川軽舟〉そんなには甘くない。〈一階に載せて二階や氷水/小川軽舟〉甘さを重ねに重ねる。〈珈琲はデカフェ夜長の窓あけて/小川軽舟〉カフェインは夜に似合わない。〈漂着のごと老人の日向ぼこ/小川軽舟〉日向ぼこか変死体かわからないまま。〈春の人眠り手首にレジ袋/小川軽舟〉買い物帰りに疲れて寝てしまったか。だんだんレジ袋は垂れていく。〈旗立ててチキンライスの孤島に夏/小川軽舟〉夏休み感、ある。

虹に声奪られし我ら虹仰ぐ 小川軽舟

小澤實『澤』角川書店

〈秋風やカレーにソースかけて父/小澤實〉カレーにソース、たぶん味見もせずにソースをかける父。〈雪嶺まで信号五つすべて青/小澤實〉幸先が良い。田舎なので交差する道路は車が少ないのだと分かる。青っぽい雪。〈一支線二輛往復さくら咲く/小澤實〉のどかな田舎風景。〈をんなの子同士の相撲すぐ引き分け/小澤實〉そういうものなのかも。争わない。〈さはやかに知多と渥美とむかひあふ/小澤實〉地理俳句。〈即死以外は死者に数へず御柱/小澤實〉祭の高揚感のなかで死ぬという愉悦。〈海に入る直前冬日拡がれる/小澤實〉日の入りを最後まで見届ける目。〈鍋深くスープ澄みをり冬籠/小澤實〉長らく火を点けていなかったのだろう。〈雪つけず墓一群や雪の中/小澤實〉いまどきの墓は雪の結晶を弾く。〈残雪の一文字なり畝の間/小澤實〉葱畑だろう。〈階段の鉄ひびきける西日かな/小澤實〉非常階段だろう。誰か来る。〈サーファーの頭頭頭頭頭頭頭波を待つ/小澤實〉灰色の海で。

薫風や頬杖ついてかんがへず 小澤實

所以119

  • 秘密警察を持たない民主的社会主義など最低の管理システムだ。あっという間に崩壊する。絶望は深化する。人々はなりふり構わずに、強権を渇望するだろう。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 狩猟的祝祭
  • シティポップを語る際に「風景」というキーワードが重要なタームとして頻出する。シティポップが歌詞として扱ってきたのは、主に都市生活の風景・情景だったといっても過言ではないだろう。(岸野雄一はっぴいえんどのシティポップへの影響を風景論を通して考える」『シティポップとは何か』河出書房新社
  • 情況にたいするアンチテーゼとしての革命的概念としての風景、松田政男
  • 自分の意見と反対の意見が存在することを喜ぶのが哲学、反対の意見が存在しないことを喜ぶのは宗教。
  • ポルノやヘイト本や黒人は存在しない。
  • ただ画像や動画や本が存在し、それらをポルノやヘイト本などと評価する人が存在するだけ。
  • ある画像を見て「このポルノは〜」と話し始める人やある書籍を見て「このヘイト本は〜」と話し始める人やあるホモサピエンスを見て「この黒人は〜」と話し始める人は議論に向いていない。
  • ものの中立的な、無標なありかたを捉えられない人は議論に向かない。
  • 議論に向かない人は民主主義にも向かない。
  • 差別主義者と呼ばれている人は、単に自分の意見を述べているだけの人かもしれない。
  • ヘイト本が誰かを傷つけるのはヘイト本で誰かを殴ったときだけ。読んで心が傷ついたとしたら、それは読んだ人の解釈が自身の心を傷つけている。
  • ヘイト本が命を奪うと主張するとき、その主張そのものが命を奪う手助けをしている。ほんとうに命を救いたいなら「ヘイト本は命を奪えない」と主張するべきだろう。
  • 当事者をバカにするな。当事者は何かを解釈する力を持てる。
  • 言葉の暴力性は言葉を読む人・受け取る人に内在する。
  • 裂坂卓の新しい制度を作り制度を壊す二つの方法。「一つは父親になることだ」「もう一つの条件はプロパガンダだ、父親が世界を席巻し、宣伝がその権力を固める」
  • ナチス・ドイツの大管区Gauとビザンツ帝国の軍区θέματα
  • 制街頭権
  • トランスジェンダー文化政策が行きつくところまで行けばいいと思っている。理を撓めた反動として大衆は家父長を渇望するようになるだろう。
  • お受験などでもそうだが、お勉強を無理強いさせられた人の怨みは深い。
  • 最も繁栄している国は、世界中にイデオロギーを示さなければならない。(村上龍『愛と幻想のファシズム(下)』講談社文庫)

所以118

  • 向こう側には恐ろしい数の弱者がいる。弱者はいろいろなものを奪い取る。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 狩りによって俺達は人間になった、だから狩をしない奴は人間じゃなくて、まだ猿なんだ、いや猿に戻ったというべきかな。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 誰でも幸福になることはできる、だが貧乏人には快楽はない。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 意志の本質は未来に対する欲求の状態にあるのではなく、現在における現在の活動にあるのである。(西田幾多郎善の研究岩波文庫
  • 11月下旬、浜松市磐田市のコンビニから毎日新聞が撤退している。
  • 体制や集団へ身を捧げる者は精神を病まない。なぜなら他者中心的で自分本位だから。
  • 別の言い方をすると自己中心的で他者本位の人は精神を病みやすい。こどもがその典型。
  • 全体主義は一種の防衛機制と言える。
  • すなわち、子供の頃殺されずに済んだという運、病気に打ち勝つからだ、殺し合いに生き残るチカラ、その三つがない者は、弱者なのだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • (前略)今の日本を象徴している。浅薄な知識とヒューマニズムに毒されて使いものにならない。本土決戦をしなかった敗戦国民の典型だ。彼らは激昂した後に意気消沈して、外国人の助けを借りるのだ。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 大江健三郎『われらの時代』
  • 男の容量を決定するのは、その二つだ。情報と、快楽。(村上龍『愛と幻想のファシズム(上)』講談社文庫)
  • 政治家は庶民感覚でいてもらっては困る。庶民感覚の政治家はいてもいいけれど、できれば庶民感覚では理解できない力量を持った政治家が国政に加わっていて欲しい。
  • 〈僕は幾度となくそれを誤記して、訂正して、お詫びします。/佐クマヒトシ〉→訂正可能性の哲学
  • 歌の読みに正解はない。これが私の信念である。どう読めば、自分にとって歌がいちばん立ちあがってくるか、魅力的に映るかが大切なのであって、客観的にこれが「正解」という読み方は、短歌にはないのである。(永田和宏『現代秀歌』岩波新書
  • 家臣団を結成したい。
  • アレクサンドロス大王家臣団(国王・太守)やナポレオン家臣団(国王・公爵)や劉邦家臣団(国王・諸侯)に匹敵するのは織田信長家臣団(関白・征夷大将軍国持大名)くらい。
  • 児童館と公園の北にあった執行医院(世田谷区祖師谷5-3-2)は内科の医者で『あさりちゃん』が置いてあった。風邪をひくと鼻腔を洗えと言われた。
  • ドエル&ボクシバタ(東京都世田谷区祖師谷4-27-5)に薬局があった。
  • 磐田市の駅南にある農業法人が参政党のオレンジ色の旗を立てながら農作業している。
  • 江戸時代には、式目の中に納まらない一句だけを書くときは、一句の内容にふさわしい、多行の形式を芭蕉西鶴も選んで書いている。(林桂「俳句形式のデザイン」『現代俳句』2023年12月号)
  • 攻撃を受けるパレスチナのガザへの同情は本土決戦を未遂のまま終わらせた敗戦国民の擬似被害感情を強く刺激する。
  • 無謀な攻撃を仕掛けたハマス真珠湾攻撃をしかけた戦前軍部の類似性。
  • 憲法9条を護持する立場にあるならアメリカ=イスラエルを支持しなければならないのに弱い立場にあるガザへ同情してしまうという矛盾は、日本国民の多くは表面的に戦前への回帰を忌避しながら深層では戦前へ回帰したい願望を抱いている可能性を示唆する。
  • パレスチナ解放を謳う日本赤軍の、本土決戦を継承するかのような活動が戦前日本とパレスチナを繋ぐ。
  • しかし彼は噴き出す笑いを/逆転の笑いを笑うだろう(黒田喜夫「沼地にて」『黒田喜夫詩集』思潮社
  • ぼくは掟なんてほしくない/燃えるキリンが欲しいだけ(黒田喜夫「燃えるキリン」『黒田喜夫詩集』思潮社
  • おれはすでに名前で連帯しているのではない(黒田喜夫「除名」『黒田喜夫詩集』思潮社
  • 決して還るのではない/迷行の痕を/ひいていった(黒田喜夫爬行のとき」『黒田喜夫詩集』思潮社
  • 込める短歌と託す俳句

所以117

  • 大阪の上町台地と東京の江戸前島は地形として似ている。豊臣秀吉はその類似に着目し、江戸を東の商都とさせるべく、関東奥羽支配の拠点とするべく徳川家康に国替させたのだろう。
  • 漢典
  • 詩歌への批評眼はすばらしいが社会へ目を向けると表層しか捉えられておらず紋切り型の稚拙さが目立つ。
  • こうして日本社会はことばの「皮膜」に覆いつくされ、息が自由にできなくなってゆく。隠喩の深みから換喩へ、垂鉛から皮膜へ、とめどなく詩も俳句も横滑りする時代がとっくに始まっていたのである。(恩田侑布子『星を見る人』春秋社)
  • 「有季定型は油断すれば予定調和になる。季語に足をとられるな。無季でなければ言えない世界がある。遠くを目指せよ」。こう仰りたかったのではないかしらん(恩田侑布子『星を見る人』春秋社)
  • ↑三橋敏雄、無季ではなく超季〈昭和衰へ馬の音する夕かな/三橋敏雄〉
  • 第六回白鳥庭園俳句大賞優秀賞〈寒泳や声をなくした男たち/以太〉に引きつづき、第七回白鳥庭園俳句大賞も優秀賞〈薔薇の芽や姉の白無垢褒めたてて/以太〉、そして佳作〈ちるさくら児を天へ返さなくては/以太〉
  • しかし名古屋の白鳥庭園へ赴いても俳句大賞の痕跡は見当たらないのは残念。
  • いしかわ百万石文化祭2023、深田久弥生誕120年記念「深田久弥と日本百名山」俳句大会は入選だった。〈雪渓や風のどこかに祖父の声/以太〉
  • ダントーのテーゼにしたがえば、「なにものも、それにアートという身分をあたえる理由づけの体系のそとでは、アートの作品であることはない」(西村清和『現代アートの哲学』産業図書)
  • この、「十九世紀に発見されたある種の想像力の空間」、それは「図書館の現象」である。この意味で図書館という制度は、近代文学の発生装置なのである。(西村清和『現代アートの哲学』産業図書)
  • ポルノは絵画/画像でしかない。絵画/画像をポルノと判定する人が単なる絵画/画像に何らかの猥褻さを解釈しているに過ぎない。
  • 自分の詩歌が響く社会は歓迎しない。響くのは違和があるから。響かない社会がいい。
  • ハラスメントの被害者を名乗る人はあらゆるハラスメントの撲滅を訴える義務はなく、自分の被害を訴えるだけでいい。
  • 界隈に上下関係はないと言っておきながら、自分が上に這い上がったと思いこむや否や上下関係を作りたがるのは人の性。
  • 耐えろ、奢るな、自らにとっての最善を尽くせ。
  • ボードゲームツィクストワタルートヘックス
  • 〈金輪際一歩も引かぬ稲光/黒田杏子〉(黒田杏子『八月』角川書店)金輪際は水輪との際、仏教的世界観の底の底。大掛かりな舞台装置だ。
  • 器官なき身体は、最もスピノザ的な意味における内在的実体であり、部分対象は、いわば、この実体の究極の属性である。(ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ宇野邦一訳『アンチ・オイディプス河出文庫

 

安田中彦『定本 人類』

読んだのは2023年10月発行の、定本の方。〈新聞を踏んづけてゆく孕み猫/安田中彦〉世情を越えてゆく孕み猫であり命を産むものの強さ。〈雛段の底の臣民略さるる/安田中彦〉下の方の人ほど多くの段を買えないので臣民を多く略している皮肉。〈/安田中彦〉〈顕れて聖痕となる黒揚羽/安田中彦〉存在そのものが聖遺物という尊さ。〈蜥蜴まで都市計画の届かざる/安田中彦〉おもしろい。都市計画の線引きが蜥蜴のからだへ届かないという無法図さ。〈白昼といふ暗さありソーダ水/安田中彦〉ソーダ水の明るさに、より暗くなる部屋とか。〈八月やうつ伏せの子を仰向けに/安田中彦〉不気味な句。寝ている子が原爆による死体か否かを確認するかのように。〈人体に鍵挿しこめば黒ぶだう/安田中彦〉ぶづぶづと鍵が人体へ沈んでいくような。ちょっと癌感ある。〈ろぼっとに訛ありけり冬籠/安田中彦〉雪山の老博士を思う。ろぼっとの訛はろぼっとの世界における標準語だった。〈新人はみな黒スーツやがて死ぬ/安田中彦〉いきなり過ぎて笑う。喪服の色を思うのだろう。そりゃそうだけど、と言いたくなる。

これは吾の前頭葉かブロッコリ 安田中彦

 

所以116

  • 言葉を重んじる人は軽々しく理由を述べない。
  • 家族は観光客でつくられる。家族は誤配で生まれ、訂正可能性によって持続する。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン)
  • 家族とは訂正可能性の共同体だ。そこでは、偶然と運命、変化と保守、開かれているものと閉ざされているものは対立しない。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン)
  • 美人とは目立つ特徴がないこと。
  • 他人が変わったように見えるのは見る人が変わったときだけ。
  • Aという経験をした人しかAまわりの政治に携わるな論法。Aの一部を知って全て知った気になっている政治家とAを経験として知らないことを前提としている政治家とどちらがマシかという話になる。
  • 多行俳句、空間認識能力と言語空間認識能力と共感覚の調和。
  • ことばの速度がのこころの速度を置いてけぼりにすると多行形式の切れが生じる。
  • 囲碁的発想による多行作句。
  • 心の幾何学
  • 保守は共同体が閉じていることを前提としている。そのうえで仲間を守る。それに対してリベラルは共同体は開かれているべきだと信じる。だから保守を批判する。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン)
  • もう日本の保守は開国までの江戸幕府=徳川政権。
  • いま正しいこともいつ訂正されるかわからない。いまのマイノリティもいつマジョリティになるかわからない。いまの被害者もいつ加害者になるかわからない。いまコレクトな発言や行為も、いつ「コレクトされる」かわからない。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン)
  • 政治的正しさは、政治的な訂正可能性としてしかありえないのだ。(東浩紀『訂正可能性の哲学』ゲンロン)
  • 灯台もと暗し
  • 世界を刻印する写真は、証拠になる。(西村清和『現代アートの哲学』産業図書)

所以115

  • 集団生活で習得するのは、集団と上手につきあう方法ではなく、集団に心を動かされない方法。
  • 科学者がスピリチュアルな人を恐れるように、スピリチュアルな人は詩人を恐れる。
  • 人の役に立つものだけを善として手元に置くのではなく、役に立たないとされるものにも前向きに接していくことができたら、人はどんなに優しくならるだろうと思うのです。これは社会の中で弱者や少数派や異端とされる人や事物との関係性や共生という課題に重なります。(楠見清『無言板アート入門』ちくま文庫
  • デュシャンレディメイド赤瀬川原平トマソンもタイトルを付けることで作品化され、日用品や無用の長物がひとつの「詩」になるのだと私は理解しています。(楠見清『無言板アート入門』ちくま文庫
  • シミュラクラ現象→パレイドリア現象
  • A2ミルクとは 乳中に含まれるカゼイン中のβ-カゼインがA2タイプの遺伝子を持った乳牛から搾乳されたミルクのことです。(蒜山酪農農業協同組合
  • 乳糖不耐症を根性で治す時代は終わりになるか。
  • Rensak - 連作並び替えツール、短歌や俳句。
  • עם ישראל חי
  • ストア派フェミニストが一つ屋根の下で暮らしている事態はシオニストとジハード主義者が同じ国にいる事態と同じくらい危険だ。
  • ゴラン高原へ第五次中東戦争は拡大した。第三次世界大戦も近いかも。
  • フェミニズムは哲学に比べ、議論とデータを積み重ねていく民主主義には向かないけれど、文化諸分野でヘゲモニーをとり共感の和を広げていく覇権主義には向いている。
  • 共感は感染力の強い暴力
  • 批林批孔と周恩来
  • 陸中国で日本批判の運動が起こったときはその運動主体が何かを見極める必要がある。すなわち東夷の小さな島国を批判しているのか、現政権を批判したいのか、を。
  • 白羽町のフィールには海鮮味覇(青)、浜松メイワンの成城石井にはヴィーガン味覇(緑)が売っていた。
  • いじめられ感度・被害者意識の高い人は(いじめがいがあるので)いじめられやすい。
  • 遠州における詩歌の祭典、ポエデイ

所以114

  • 何語を学ぶかは問題ではなくどの言語をどれほど長く深く学べるかが大事だ、ということを十数語の失敗とともに学ぶのが語学。
  • 戦後共産主義のイタリア語か詩のトルコ語が無難かも。
  • 結論ありきの行動(団体や個人を叩くこととか)には魅せられない。結論はぼかしていたい。
  • やはり数学というものが頭の中だけで勝手に考えられたものではなくて、社会的必要というめのの刺激を受けて発展するものだということは、誇大のばあいは特にはっきりしてきると思います。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • 農業を主とした古代の国家では必ず天文学が発展する。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • 人をいかに自分の意見に同調させるかというところで弁論術も発展する。専制的な国では、弁論術とか、あるいは修辞学、あるいは論理学などは発展しない。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • ギリシアはそうではなくて、議論の非常に盛んな国であった。だから論理学が発展した。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • ユークリッドには座標はないが、デカルトは座標を使った。それは大きな違いです。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • できるだけ物事を小さい部分に分ける→座標、点の位置
  • つまり近代数学は、中世の数学が静的であったのに対して動的になったということがいえると思うのです。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • ポリティカルコレクトネスへの反感の表象としてのニーチェ流行。
  • 幾何学というのは、数学とわれわれの住んでいる世界、あるいは客観的世界とのつながりを問題にせざるをえない学問であります。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • 集合:要素の集まりだが要素の間の相互関係は考えていない。構造:要素の間に何らかの相互関係が規定されている。
  • 数学を「構造の科学」という規定をすることができる。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • 構造の科学Strukturwissenscaft
  • 位相的構造→遠い近いの関係、代数的構造記号論理学も、順序構造
  • 群というのは何らかの操作の集まり、操作というのはオペレーションとでもいいますか、何らかの手続きをいいます。(遠山啓『現代数学入門』ちくま学芸文庫
  • 加害者から社会が信用されないのは社会が私刑を放置するどころか黙認してきたから。
  • チポリーノの冒険イタリア語全文PDF
  • アイドルは他人を楽しませる職業、自分の評価など気にしてはいられない。
  • 水窪地頭方の高根城跡へは立山林道駐車場方面からのほうが、車で山を上がれるので、登山道がなだらかでこどもでも歩きやすい。
  • 無意識の偏見に気づくことから、はじめませんか」というが、はじめられたら無意識ではなく意識。
  • 連句の心付けは、今で言うなら感喩だろう。
  • イスラエルハマス宣戦布告ヒズボラレバノン)も出てきたのでイランも出てくればアメリカ合衆国黙っていない。ロシアはウクライナと戦争中でナゴルノ・カラバフにも介入できなかった。中華人民共和国が動きやすい情勢。
  • アフガニスタン地震2000人以上の死者。しかし世界の注目は中東だ。
  • 人の感情について。誰かが他人を怒らせ(られ)る、というような思想は信じていない。
  • 人は自分が怒りたいときに怒る。

山口昭男『礫』ふらんす堂

アゼルバイジャンアルメニアの紛争が落着したかと思ったら今度はイスラエルとガザ。第三次世界大戦も危惧されるなか『礫』を読む。〈冬鵙のゐさうな山の容かな/山口昭男〉たぶん中国地方や四国地方の山ではなく中央高地の尖っている山だ。〈手袋のその人らしくなつてをり/山口昭男〉手のかたちに馴染んでいた。〈鳥の巣に鳥の来てゐる時間かな/山口昭男〉鳥の巣と呼ばれていてもいつも鳥がいるわけではないことを思い出させる。〈豆咲いて黒一色の貨物船/山口昭男〉豆の花の軽さ、色が黒一色の貨物船によって際立つ。この色彩感は〈測量の小黒板や稲の花/山口昭男〉にも。〈科学誌の表紙にぎやか草いきれ/山口昭男〉想像をトばしてきている。〈炬燵より短き返事する男/山口昭男〉まともに向き合う気はない。〈雨粒に沈丁の香のうつりつつ/山口昭男〉こういう詩的普通さもいい。〈蝶の口蝶の脚へと近づきぬ/山口昭男〉些細なものへの視線、〈蟻の口開けば三角四角かな/山口昭男〉にもそれはある。〈塵取の内と外との桜しべ/山口昭男〉何が内と外とを分けたのか。〈音はみな雪解雫の中にあり/山口昭男〉音を聴いているつもりになっていたけれど、音は雫のなかに閉じこめられている。私も雫のなかにいたのかもしれない。〈如月の平たき銀の電池かな/山口昭男〉こういうなんでもない句もいい。如月のなんでもなさ。〈石鹸に牛の刻印春の風/山口昭男〉青箱の方だろう。〈余花に風ハンバーガーを包む紙/山口昭男〉かさこそ感がある。〈新緑や御所を出てゆく郵便車/山口昭男〉著配だろう。ひっそりと出る。〈女待つ黒き日傘の女かな/山口昭男〉二人の女にまつわる物語がありそう。〈雷のにほひ出したる近江かな/山口昭男〉雷の落ちそうなにおいなのだろう。〈首の汗背中の汗に追ひつきぬ/山口昭男〉おもしろい。首の汗は塩分を多く含み重いのかもしれない。〈水鳥へ頁の角を折つてゐる/山口昭男〉なぜ?と問うのは野暮だ。嘴であり、鳥の渡りへのねぎらいである。〈浮寝鳥見るどのポケットも深い/山口昭男〉水面下における浮寝鳥の水掻きの頑張りの意味深さ。〈囀や練乳缶に穴二つ/山口昭男〉練乳缶というとヘミングウェイ老人と海』で老人が珈琲を飲んでいたコンデンスミルク缶を、荒涼とした鳥交むを思う。〈筍にそのまま書いてある値段/山口昭男〉発見の句だ。〈風邪の子に仏壇明かるすぎないか/山口昭男〉風邪で視覚が弱っている子には仏壇はにぎやかすぎるかもしれない。〈風鈴の揺れとは合はぬ音であり/山口昭男〉微細な音の違いに気づく聴力がある。予想とずれる。〈メンソレの蓋の少女や聖夜来る/山口昭男〉厳かな気持ちになる。〈焙煎の大きな音や濃山吹/山口昭男〉山奥の焙煎所だろう、古民家を改修してカフェにしているのだろう。〈初夏の鯉は体をもてあまし/山口昭男〉動けるようになったけれどどう動いたらいいかを忘れた鯉について。〈口論にサイダー持って加はりぬ/山口昭男〉なかば茶化すように対話する。〈片手にて水着絞つてゐたりけり/山口昭男〉めんどうなので片手の拳でぎゅっと絞るぶっきらぼうさ。〈煌々と台風圏のシャンデリア/山口昭男〉円状の、大きな風の氾濫と小さな光の氾濫の対照を愛でる。