Mastodon

以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

佐藤弓生『モーヴ色のあめふる』書肆侃侃房

〈土くれがにおう廊下の暗闇にドアノブことごとくかたつむり/佐藤弓生〉暗闇のなかのドアノブは、異世界と通じてぬらぬらと光るかたつむりのような冷たさと異物感とがある。〈泣き方を忘れた夜のこどもたち蛙みたいに裏返されて/佐藤弓生〉新生児室だろうか。〈引力の生まれたてなるうれしさに落ち葉は落ち葉のまわりをまわる/佐藤弓生〉枝から切り離されたとき、自由という引力を得る落ち葉よ。〈されこうべひとつをのこし月面の静の海にしずかなる椅子/佐藤弓生〉拡張人類滅亡後の月面の静寂がうつくしい。さびしくなんかないよと椅子が言う。〈なきひとに会いにゆく旅ナトリウムランプのあかりちぎれちぎれて/佐藤弓生〉ちぎれそうなのは風で動くから。旅は動く動く。〈新聞受けに新聞なくて惑星の昼ひそやかに藍色のドア/佐藤弓生〉新聞という世事を報せる道具が来ない扉は、藍色に冷たくて、世界から隔絶された空間へ繋がっていそうだ。別世界と隣り合わせの扉についての歌。〈地をたたく白杖の音しきりなり地中の水をたどるごとくに/佐藤弓生〉盲人の歩みに新たな意味を見出す。〈もう誰も月を覚えていないはるじおん咲きひめじょおん咲き/佐藤弓生〉印象的な一言めいたことばと写生の組み合わせ。〈曲がるたび月みえかくれするバスに耳たぶうすく透けゆく子ども/佐藤弓生〉色と質感の相似を楽しむ。〈詩を思うときのなずきいいにおい くちなしいろの月が上がった/佐藤弓生〉詩を思うときの脳のにおいと政治を考えるときの脳のにおいは同じか、それとも違うのか。私は同じ、焦げるようなにおいがすると思う。〈いつもより月が大きい 紙芝居みたいな生を生きおおせたい/佐藤弓生〉月を大きく感じる心持ちが、いつもより作りごとめいた夜の世界をはじまる。〈捨てられた子どもがつどう港あり月のいちばんあかるいところ/佐藤弓生〉港の倉庫とかに集めら……、いや集まっているこどもたち。埠頭でなにして暇をつぶすのか。

月は死の栓だったのだ抜かれたらもういくらでも歌がうたえる 佐藤弓生

所以73

  • 詩人は判断保留する評論家。
  • 幼児と会話するとき古代の造語力が求められる。ガソリンを「水」と呼ぶ児にそれは「燃える水」と説明するとか。
  • どんな犯罪も加害者の肉体がしでかしたことであり被害者と加害者の精神にとっては不幸な出来事である。
  • でも加害者の罪が許されるのではなく、法と事実に則って罰せられる。もし死刑になった場合は肉体のみが損なわれるけれど精神は永遠のまま。ほんとうに?
  • 他人を憎む勇気と言うけれど、それは自分の全能感を否定したくない自分の無力感を認めたくない意であり、勇気とは違うと考える。
  • 一方で他人を許す勇気は、自分の無力感をみとめる勇気である。
  • 他人を憎む勇気はデカルト的にものごとを捉えることであり、憎まざるをえなくなる状況を作ったのはその当のデカルトなのだよ。
  • 男性性というか男性の性的な欲望をスピノザのconatusで説明したとき然程の自由意志を男性(というか人類)に押しつけていないので、男性側だけの欲望ではなく男性と女性の関係の話になる。
  • 中性的な服装を嫌う人は差別できる他者性のスティグマを見出だせないことが嫌なのだろう。
  • フェミニズム同和問題や人種問題など差別を糾弾する側は己の不安について語っていることを、世界について語っていることと思いこむ。
  • すなわち「個人的なものは政治的である」。
  • 女はフェミニズムの定義上存在せず、部落民は法律上存在せず、現生人類に亜種は存在しない。差別の対象は本来存在しないゆえに、差別を糾弾するからこそ差別が生じる。
  • サッカーのカタールW杯、予想通りドイツとスペインに勝ちコスタリカに負けて決勝トーナメントに進出した。クロアチアにも勝ち、決勝にも行くだろう。
  • Tekstaro de Esperantoエスペラントの用例・例文検索
  • フェミニストの言う「男性・男」を「他者」と読み替えると、それでも総称文だけど、当たっている部分がある。
  • 現代における文語の短歌はエスペラント、という視点はおもしろいけれどエスペラントでも詩を作れるので、ちゃんと機能している作詩という評価とも読める。
  • 現代日本に日本語の文語を擬似的にでも使う人が存在することを認めるのが多様性と多文化の社会である。
  • Gerda Malaperis! エスペラント学習初心者の読み物として最適。
  • ネットプリント詩政紙「沈黙交易」2022年12月3日号セブンイレブン複合機にて10日23:59まで「AK4QC8FH」でローソン・ファミマ・ポプラの複合機にて11日5時まで「FJ9KRFNATQ」で印刷できる。A4白黒1枚20円

ステーロ通貨

 1907年、エスペランティストのルネ・ド・ソシュールRené de Saussureが国際補助通貨単位スペーソspesoを提案した。そして1 spesmilo=10 spescentoj=100 spesdekoj=1000 spesojのような補助単位を使い、金の値段を基準にしてその価値を換算した。1spesmiloは1ルーブル、0.5米ドルなどに換算できたという。しかしあまり普及しなかった。
 そして戦後になると新しい国際補助通貨単位ステーロsteloが提案された。1942年にUniversala Ligoが提案したそれは金の値段を基準にはせずに、パン1㎏を買える値段を1ステーロとした。日本の1両みたいなものだ。1960年6月28日にはじめて金属製の硬貨がネーデルランド国家造幣局で鋳造された。そのときには1ステーロ青銅貨(3.4g)、5ステーロ黄銅貨(5g)、10ステーロ・ニッケル貨(9g)の3種類が鋳造されたという。ちなみにその当時で1ステーロ通貨は0.25ギルダーに換算できた。1965年には調子に乗ったのか、25ステーロ・ニッケル貨(19g)と純度90%の25ステーロ銀貨(25g)がスイス国のHoly Freres造幣局で鋳造された。結局、320,000ステーロ強のステーロ硬貨が流通したという。1990年にUniversala Ligoが閉鎖されると貨幣の管理などは全て世界エスペラント協会が引き継いだ。そのため今でも世界エスペラント協会でステーロ硬貨を使用して本を買うことができるらしい。

エスペラント少佐の演説

諸君 私は言語が好きだ
諸君 私は言語が好きだ
諸君 私は言語が大好きだ

イングランド語が好きだ
フランス語が好きだ
中国語が好きだ
ヒンドゥー語が好きだ
ロシア語が好きだ
スペイン語が好きだ
アラビア語が好きだ
ラトビア語が好きだ
日本語が好きだ

書籍で 電子で
学校で 紙上で
会社で 議会で
手紙で 雑誌で
列車で 商店で

この地上で行われるありとあらゆる言語活動が大好きだ

フィンランド語が14個も格を持っていて単数と複数で形が違うのが好きだ。
エチオピア語のテキストを初見で訳すように言われた時など心がおどる

サンスクリット語のクラスの人数が週ごとに半減するのが好きだ
アラビア語の本で母音記号がついていなかった時など胸がすくような気持ちだった

最強のイングランド語とフランス語が植民地の言語を蹂躙するのが好きだ
アイルランドアイルランド語がほとんど話されていない時など感動すら覚える

ウェールズ語を話した児童の首に「W.N.」と書かれた不恰好な札を提げさせて恥辱を与えるのが好きだ。
日本語を話さず沖縄方言を話したばかりに方言罰札を提げさせられるのも最高だ

現地語を一語でも話した原住民の少女を捕まえ、英語教師が少女の“汚れた口”を石鹸で洗った時など絶頂すら覚える

ラテン語の格変化が死ぬほどあるのが好きだ
せっかく覚えたフランス語の時制が発音された途端に全然聞き分けられなかった時はとてもとても悲しいものだ

イングランド語の物量に押し潰されて少数言語が殲滅されるのが好きだ
イングランド語に駆逐されて害虫の様に地べたを這い回りながら母語を話すのは屈辱の極みだ

諸君 私は言語を、中立的で簡単な言語を望んでいる
諸君 私に付き従う生徒諸君
君達は一体何を望んでいる?

更なる民族語を望むか?
情け容赦のない糞の様なアルメニア語を望むか?
美辞麗句の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様なサンスクリット語を望むか?
 
エスペラントエスペラントエスペラント

よろしい ならばエスペラント

我々は渾身の知をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で120年もの間、堪え続けてきた我々にただの民族語ではもはや足りない!!

エスペラントを!!
一心不乱のエスペラントを!!

我らはわずかに100万人 小民族語に満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力10億と1人の言語集団となる

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし口を開けさせ話させよう
連中に安易な動詞活用を思い出させてやる
連中に我々の造語法を思い出させてやる

バベルの塔崩壊以後の世界に奴らの言語帝国主義では思いもよらない国際語があることを思い出させてやる
100万の言語マニアの話者集団で
世界を燃やし尽くしてやる

「日本のエスペラント少佐より世界のエスペランティストたちへ」
目標ポーランド本土ワルシャワ首都上空!!
ザメンホフ作戦 状況を開始せよ

所以72

  • 海は漁師にとっては、農民のもっている土地の観念に近かった。海は生活の場所であって、稲穂や麦のかわりに、白い不定形の穂波が、青ひといろの感じやすい柔土のうえに、たえずそよいでいる畠であった。(三島由紀夫潮騒新潮文庫
  • 少女の目には矜りがうかんだ。自分の写真が新治を守ったとかんがえたのである。しかしそのとき若者は眉を聳やかした。彼はあの冒険を切り抜けたのが自分の力であることを知っていた。(三島由紀夫潮騒新潮文庫
  • 銀髪は自前の帽子秋風にすこしかなしく光らせてゆく 杉﨑恒夫
  • 実損のあるセクハラ被害を笑ってはならないのは当然だ。
  • しかし実損のないセクハラ「被害」を批判することすら許さないのは全体主義的だ。
  • 虚構に基づいた活動は虚構性を暴かれたくないゆえに、活動へ議論の焦点を当てたがりその基盤についての議論を嫌う。
  • フェミニストが怖いから黙っていようという態度がフェミニズムのアップデートを妨げている。
  • 10月30日朝に投函した朝日歌壇が11月27日掲載、10月24日にWEB投稿した毎日歌壇が11月28日掲載となる。
  • 浜松の人びとのポスター展2を聴いた。天狗ちゃんの坂田さんがポスターになっていた。
  • 句会で目立ってしまうあまり佳くない句と句集を読むと記憶に残る佳い句。
  • W杯やオリンピック、国を挙げて応援することは疑いを持っていいけれど何年も練習にうちこんできた人を応援できる率直さを人として失ってはならない。
  • 〈秋浅し紫煙たなびく勝手口/原清彦〉毎日俳壇小川軽舟選2022.11.28、小休憩、いまは室内で堂々と服めない。
  • 〈四十円上がりし時給良夜かな/小林俊之〉毎日俳壇小川軽舟選2022.11.28、物価高騰にはまにあわないけど昇給は嬉しいもの。
  • 〈日当たりの良きネジ工場小鳥来る/須田菊枝〉毎日俳壇小川軽舟選2022.11.28、日当たりも良いし待遇や人間感も良いのだろう。ちょっとした会話もある。
  • 〈通勤のラッシュの中に秋の声/今泉準一〉毎日俳壇井上康明選2022.11.28、秋は人混みに紛れ込んでいる。
  • 〈自らの匂ひに疲れ室の花/手拝鷹翔〉毎日俳壇片山由美子選2022.11.28、自らの存在感に疲れている。
  • 〈雑兵は非正規の兵 雑兵の多くなりたる今の日本/喜島成幸〉毎日歌壇選2022.11.28、問題は雑兵の多さより雑兵では満足に食べていけないこと。
  • 〈こめかみの側を誰かの指が過ぎエレベーターの<12>を射抜く/平安まだら〉毎日歌壇加藤治郎選2022.11.28、エレベーター内の一瞬を描く。しかし作中主体の立ち位置が気になる。
  • 〈公園のチョークの線は死を示すかのようだった 蜥蜴を放つ/北城椿貴〉毎日歌壇加藤治郎選2022.11.28、暗示の道具立てが強い。
  • 雨のマイナンバー交付申請書地獄だった。部長から夕方は嵐なので全部抜いて明日回しと指示されたけど池の水じゃないし天気予報を信じてかたくなに指示を拒み1列をのぞいてすべて入れた。予測がびちぃんとはまった爽快感。
  • それにしても何度マイナンバー交付申請書を出したら政府は気が済むんだろ。

 

所以71

  • しかし私は、日本人の中にも「多様性」や「多文化」があると考えます。(飯山陽『イスラームの論理と倫理』晶文社
  • 日本のなかの異文化を認め尊重すること。不要な害意を抱かないという文明的知性を持つこと。
  • 春の日の不可知を問えばとうとうとピアノをあふれくる黒い水 佐藤弓生
  • いや、エコロジー主義が不断に帯びざるをえない欺瞞的ないかがわしさは、それがゾンビの黙示録的地平をこええないところによっていると言わねばならないだろう。(絓秀実『革命的な、あまりに革命的な』ちくま学芸文庫
  • 〈背後には軍の動きがあるようだどの石もどの石も蒼白/岡井隆〉『あばな』砂子屋書房、これは碁石かも。
  • 〈死つてさ、それは深いよ底知れぬ青空か暗い月夜だ/岡井隆〉『あばな』砂子屋書房、明るさも暗さも底知れぬ深さである。
  • 法人概念を持たないネットワーク社会であるムスリム世界を理解するには、名前があるからといって、それに対応して我々が考えるような「組織」があると思うのは誤解で判断を誤ることになります。イスラーム国も同じです。(中田考イスラームの論理と倫理』晶文社
  • 旅鞄取り出し塵を拂ひたりいづこに往かむあてはなけれど 吉井勇
  • 足の音せず行かむ駒もが葛飾の真間の継橋やまず通はむ(『万葉集』巻十四・三三八七)
  • テキストジオタギング(GeoNLP)デモ
  • 〈黄落や音無き音のただ中に/高橋裕見子〉朝日俳壇大串章選2022.11.27、静けさという響きのなかで。
  • 〈口に入り肛門に出る稲光/飯島幹也〉朝日俳壇2022.11.27高山れおな選、稲なので米と糞を連想する。
  • 〈病窓やさながら秋の雲図鑑/橋本正幸〉朝日俳壇2022.11.27小林貴子選、長い入院期間だろう。
  • 〈ごみ置き場に句集の束や秋の風/三井英二〉朝日俳壇2022.11.27長谷川櫂選、近所の俳人が断捨離したか物故したか。
  • 〈川沿いの高層マンションそれだけがツンとしていて不機嫌そう/菅谷彩香〉朝日歌壇2022.11.27佐佐木幸綱選、武蔵小杉あたりの寒々しい感じを思い出す。
  • 〈朴の木は森一番に早寝するキングサイズの葉を敷きつめて/田巻成男〉朝日歌壇2022.11.27高野公彦選、キングサイズはベッドのサイズだ。
  • 〈月今宵眩しきまでにブロンズの女陰を照らす秋の公園/池田覚〉朝日歌壇2022.11.27永田和宏選、ブロンズ像の格好が気になる。
  • 〈珈琲のセールを待てば再値上げ蹌踉として買い溜めに行く/朝広彰夫〉朝日歌壇2022.11.27馬場あき子選、再値上げの再値上げがあるかもしれない。

 

俳句結社の探し方

 俳句結社の探し方とは、言い換えれば結社をどのように分類するかであろう。その視点から結社の探し方もしくは選び方について分類のための項を立てて書く。想定している読者は結社に入ろうと思っている人や結社に飽きて入社当初の目的を見失った人などである。
 ちなみに私は麦の会という俳句結社に2018年に入会し、2020年に同人になった。

類似した組織との違い

 まず、そもそも俳句結社とは何か? それを類似の組織との比較で述べる。結社と似たものに同人誌*1がある。結社にはたいてい同人*2と呼ばれる人たちがいて同人誌と紛らわしい。結社はおもに主宰やその主宰の俳句理念を戴いて結社誌を定期的に刊行するピラミッド型の相互研鑽組織である。一方で同人誌は主宰を置かず*3おもに仲間同士で同人誌を刊行するフラットな組織のことで、結社内の仲間で刊行したり、ときには結社を超えた超結社で刊行したりする。そのほか会費のないオンラインサロンのようなリゾーム状の組織*4もある。
 要は、俳句結社とは主宰や宗匠など先生と呼ばれる人がいて誌友*5・同人などの階層を一歩一歩のぼりながら相互研鑽していく、出版機能を有する組織のこと。現代の徒弟制度と言えるかもしれない。
 ちなみに私の入った麦には主宰はいない。主宰は初代の中島斌雄だけで継承した人は会長と呼ぶ。それでも俳句結社である。
ホトトギスの稲畑汀子

俳句結社の分類

 それでは俳句結社がどんなものかを明らかにしたので、以下に俳句結社の分類を10の項目で述べる。

結社誌があるか

 たいていの俳句結社は定期的に結社誌を刊行している。もちろん句会*6や全国大会*7を開催するだけで刊行物のない結社もあるかもしれない。
 結社誌があると、俳句という詩のアイデアを日付とともに発表できる。すると他の媒体で自分の俳句と同じようなアイデアを使った類想句やまったく同じ盗作句を見つけたら結社誌を示して「類想ですよ」もしくは「盗作ですよ」と告げることができる。ネットプリントや修正可能なブログでは難しいけれど結社誌ならそういうことができる。研究論文の発表みたいなものととらえてくれればいい。このような発表の場としての役割は結社の重要な存在理由のひとつと言える。結社誌がある結社にはそのような発表の場があるということ。
 メールや手紙などで依頼すれば見本誌として結社誌をとりよせられ、誌面のデザインなどを他の結社と比較できる。また、欠詠もあるので概算になるけれど結社の人数も推測できる。

師系と理念や句風

 俳句結社には俳句専門雑誌の広告やホームページや結社誌の冒頭でその結社をはじめた主宰やその主宰が師匠として学んだ人を明らかにしていることがある。それを師系と謂う。結社誌の見本誌をとりよせて眺めたりその師系に出てくる人の句集を本屋・通販サイト・図書館で探して読んだりするととその結社でどんな俳句を学べるかがわかる。
 また結社誌の冒頭などで理念や句風を謳っている結社もある。有季定型か無季か、旧仮名か新仮名か、文語か口語か、社会詠か写生句か、一字あけか自由律か一行詩か多行形式か、などをわかりにくく表現している。それは読み取らないとならない。また、雑詠欄の投稿で旧仮名縛りや新仮名縛りをしている結社もあるのでそれも見本誌に挟まっている投稿用紙で確認できる。そのほか、自由律俳句の結社は自由律と謳わず内在律・感動律・自然律・随句・口語俳句など独自の用語を使っていることがあるので注意が要る。
 自分が作りたい句風を探してもいいし、自分が触れたことのない句風に挑戦してみるのもいい。
 ちなみに私は「師系 中島斌雄」でググって麦に決めた。

つながりのある協会はどこか

 俳句結社はたいてい俳句協会、現代俳句協会俳人協会日本伝統俳句協会のうちどれかとつながりがある。ほかにも全国俳誌協会などがある。俳句協会が何かはこの記事の対象外なので詳細は書かない。それぞれの俳句協会の特色からつながりの俳句結社を選ぶ道もあるし、その逆の道もある。俳句協会へはほどよいタイミングで結社内の俳句協会会員から声がかかり推薦をもらって入会できる。もちろん入会したくなければ入会しないでいることもできる。俳句協会すべてに入りたいならそれぞれの俳句協会とつながりのある結社に入社するのが近道だろう。もちろんそれぞれの協会に知り合いの推薦人がいれば結社に入社しなくても俳句協会すべてに入会することはできる。
 麦は会長が現代俳句協会の副会長でありつながりが深い。でも私はひょんなことから口語俳句協会経由で現代俳句協会に入会してしまい、ちょっと気まずい思いを自分勝手にひきずっている。

全国規模か地方か

 俳句結社は日本全国に同人・誌友の散らばっている結社と特定の地方に集中している結社がある。全国か地方かに優劣はないけれど、特定の地方に集中している結社は大会がその地方で行われることが多いので、もし結社の全国大会で日本の各地をまわりたいなら全国規模の結社への入社をおすすめする。あるいは、もし身近な俳句仲間が欲しいなら自分が住んでいる地方に集中している結社へ入社した方が無難だろう。結社誌巻末の句会案内で同人・誌友の散らばりはある程度推測できる。
 私の住んでいる遠州地方には「みづうみ」「椎」「海坂」などの俳句結社がある。そこへも気持ちがすこし動いたけれど旅をしたかったので全国(関東、東北、九州)に同人が散在している麦に決めた。

結社賞の有無

 俳句結社には同人や誌友向けに結社賞を開催している結社もある。もちろん開催していない結社もあり、そういったところでは結社賞に該当するのが毎月の雑詠欄における巻頭ととらえられる。巻頭より結社賞受賞が俳句活動の励みになるというなら、それがある結社を選んだほうがいいだろう。
 ちなみに、麦には収穫祭という新作の賞や新人賞や作家賞という既発表作の賞がある。

投稿欄の選者は誰か

 主宰となる先生が好きで俳句結社を決めても、その先生が選者となっている投稿欄に投稿できないことがある。たいてい雑詠欄は主宰の選で誌友なら誰でも投稿できるものだけれど、結社によっては同人にならないと主宰選の欄へ投稿できないという制限があることもある。同人になるまで待てない! ということが起こらないよう投稿欄は誰が投稿でき、誰が選者なのかを事前に調べておいたほうがいい。
 ちなみに麦は誌友のときから会長選の地熱集へ投稿できる。そのほか俳句教室としての原生林欄がある。

句会があるか

 俳句結社には各地で毎月句会を開催していることが多い。結社に入ってから句会に参加する人もいれば、まず句会に参加してからそこの先生や仲間に誘われて結社に入社する人もいる。結社と句会、その関係はあいまいだ。結社誌の巻末には句会案内が書いてあり、連絡先の人はたいてい結社の同人だ。でも句会の参加者は必ずしもその結社の誌友とは限らない。実にあいまい。でも結社に入社したあとで句会に参加したいなら近所で句会を開催している結社に入社した方がいい。主宰が指導に来る句会もあれば、有力同人が先生として指導する句会もある。もちろん結社に入っても、その結社とまったくつながりのない句会に参加してもいい。
 ちなみに私は全国大会や新年句会などには投句しているけれど、毎月各地で開催される句会には参加していない。理由は近所に結社の句会がないから。

主宰は初代の親族か

 もしあなたが俳句結社にて奇特にも主宰に登極したいと思っていたら、その結社の主宰が初代*8の親族だけで継承されているか否かだけは調べておいた方がいい。もし主宰が親族だけで継承されていたら親族以外が主宰に就任する可能性はよほどのことがない限り小さいからだ。それには主宰のお嬢さんやお婿さんが主宰を継承して姓が異なっていることもあるから内実を調べる読解力が要る。ただ、その場合でも主宰親族に同年齢の異性がいれば婚姻制度を利用して主宰親族になる手もある。もちろん相手があることなのでうまくいかないこともある。
 ちなみに麦の会長職は親族継承ではない。それにものぐさなので私は主宰・会長を目指していない。

主宰はおいくつ

 主宰となる先生が好きで俳句結社を決めても、その先生に物故されてしまうと違う先生の教えを受けることになる。それならまだいい方で主宰物故ののちにその結社が解散してしまうこともある。せっかく入った結社が数ヵ月でなくなってしまうと数分は呆然としてしまうことだろう。誰が決めたか俳句は最低でも5年の修業期間は要るなんて言われているから主宰の現年齢に5~10年を足してみて、将来について案じてみるのも手だ。
 私は2017年12月ごろ妻の妊娠を期に結社を検討していた。最初、金子兜太の海程がいいなと思い、検討したけれど、金子兜太が1919年生まれと知ってやめた。

社風はどんなか

 俳句結社の社風や同人・誌友の人となりばかりは入社しないとわからない。でもその俳句結社に入っている同人などのブログやtwitterやインスタなどはグーグルで検索できるのである程度は調べることは可能だ。過去に何かいざこざがあったような記録も見つかるかもしれないけれど、いざこざは概してその結社が活発に活動して人数が多い証拠である。むかしは句会で灰皿が飛ぶ結社もあったらしいけれど、今の公民館は禁煙なので灰皿が飛ぶ指導熱心な結社は絶滅危惧種だろうし、構成員がほとんど後期高齢者である結社にやたら濃厚な人間関係を期待しても望み薄だろう。たいていは普通の老人会のようなものだ。
 もちろん入社したあとで不快な目に遭うかもしれない。本当にこればかりは入社しないとわからないことだけれど、結社も社会の縮図でありさまざまな文化圏から人が集まっている。実損がない限り、同じ言語を話して同じ俳句という趣味を持っていても違う文化圏の人なのだなと考えて接するのが得策だ。不快に思った側が正しいわけではなく、不快に思わせた側がなにか利を得ているわけではない。単に文化が違っただけ。不要な害意を見出す癖をオッカムの剃刀で削ぎ落とし判断保留、そののち文明的知性をフル稼働させ異文化との相互共存を図れば何の紛争も起こらない。もちろん実損がなければ、だが。年代も地域も違う人とうまく接することは俳句だけではなく人生の勉強になる。ニーチェ*9も人間の成長には厳しさとかが必要だと述べている。
 ちなみに麦で不快に思ったことまだ起きていない。単に私がすべてを楽しめる性格なだけなのかもしれないけれど。ただ麦には懇親会のときだけ味わえる特殊な一本締めの風習がある。「陋習」と陰で揶揄する人もいるかもしれないけれど、私はこれを気に入っている。

おわりに

 以上が私なりの俳句結社の探し方・選び方としての分類である。もちろん違う意見や違う分類法もあるだろうから、そのときは指導・鞭撻をいただけると幸いだ。
 もちろん俳句結社へ入ることだけが俳句活動の唯一の道ではない。ひとりで作り続けることも立派な俳句人生だ。でも、頭の片隅に俳句結社への道もあることを覚えておいいても損ではないと思う。バイパスって聞くとなんだかワクワクするでしょ。

*1:豈や豆の木や円錐など

*2:読み方はおもにドウニン、誌友として何年か投稿していると同人に推薦されたいてい会費が増額される。

*3:それっぽい人がいることもある。

*4:いつき組や俳句集団itakや旧屍派など

*5:会員と呼ぶ結社もある。

*6:たいてい月一回、公民館などで開催される。

*7:年一回、ホテルの会場や神社仏閣の式場などで開催される結社の大きな会。たいてい句会も開催する。

*8:創刊主宰とも呼ぶ。

*9:善悪の彼岸

所以70

 

所以69

  • イスラームユダヤ教キリスト教と比べると、ムハンマドにちなんだ歴史的個別性よりも普遍性を重んじているといえるでしょう(中田考イスラーム入門』集英社新書
  • ユダヤ教におけるユダヤ民族の体験としての仮庵の祭や過越の祭や七週の祭、そしてキリスト教におけるイエス・キリストの生涯にちなんだクリスマスやイースターペンテコステイスラームにおけるイード・フィトル(開斎祭)やイード・アドハー(犠牲祭)と比較して。
  • 近代西欧で作られ日本に輸入された良妻賢母の概念をイスラームに投影することは慎まなくてはなりません。(中田考イスラーム入門』集英社新書
  • 国家装置は将棋、戦争機械は囲碁という喩えがおもしろい。碁石は米粒や錠剤のような単位であり、「内的特性などもたず、状況的な特性しかもたない」ゆえに国家の外部に位置する戦争機械のモデルたりうる。
  • これが状況派situationnisteたち、ギー・ドゥボールGuy Debordとアリス・ベッケル・ホーAlice Becker-Hoが共同開発した戦争ゲームKriegspielに繋がるかと思ったけれどこちらは国家装置みたい。
  • クラスターやインフルエンサーや認証などで色分けされたtwitterが国家装置なら、インスタンスに分散しゆるやかにつながるMastodonは戦争機械か。
  • ふじのくに芸術祭2022(第62回静岡県芸術祭)文学部門文芸コンクール入賞作品・入賞者
  • 〈卒業の以下同文を生きてゐる/田村葉〉朝日新聞社賞『第五十九回現代俳句全国大会入選作品集』現代俳句臨時増刊11月号、誰もが聞いたことがある定型文をうまく活かした。
  • 〈アリバイは紋白蝶に会いしのみ/関戸信治〉筑紫磐井特選賞『第五十九回現代俳句全国大会入選作品集』現代俳句臨時増刊11月号、これもサスペンスドラマの定型文的だ。作中主体の身軽さがいい。
  • 〈真っ直ぐな線で金魚を考える/油津雨休〉秀逸賞『第五十九回現代俳句全国大会入選作品集』現代俳句臨時増刊11月号、むむむ、消失点か水槽か。
  • 〈八月の蟻は足音立ててゐる/伊藤政美〉秀逸賞『第五十九回現代俳句全国大会入選作品集』現代俳句臨時増刊11月号、軍靴というより熱で生命感や存在感が膨らんだことによる足音。
  • 〈クレヨンの淡い順から春となる/横田達夫〉佳作『第五十九回現代俳句全国大会入選作品集』現代俳句臨時増刊11月号、「淡い順」という見い出し方がいい。
  • マストドンにはエスペラントの鯖 (インスタンス・サーバー)であるesperanto.masto.hostがある。エスランティストは集合→@ien@esperanto.masto.host
  • 国内・海外の言語別サーバー一覧があればいいけど。
  • 今となってはできることは、西欧が自分たちの(人権)趣味に合わないとの理由で、ふたたびタリバンを排除しようとする過ちを繰り返すことなく、1973年のクーデーター以来の半世紀近くにわたるアフガニスタンの混迷に終止符を打ち、千載一遇の好機を、アフガニスタンの民衆から奪わないことだけである。(中田考タリバン復権の真実』ベスト新書)
  • 知性の結果は自己への制御ではなく他者への寛恕である。
  • 11月19日(土)16:30~20:30、美薗中央公園みそのの新酒会蝦夷鹿・鴨肉の燻製や銀鱈・秋刀魚を肴に花の舞の新酒を飲める。豊月堂では酒粕の甘酒やどら焼きも売られていた。
  • 浜松駅前北口路上にて19時撤収直前のデックさんを観る。スピーカーで野球の応援曲らしきものを流し少女たちと踊っていた。少女たちは朱音のファンだろうか?

所以68

  • 楊子橋が工事で来年2月まで使えないの不便。
  • 伝統は過去を参照して伝統を更新していく。未来や科学は参照しない。
  • 芸術という商品は、近代資本制が虚構として成立するための外部的支えなのだ。その意味で、近代資本制は芸術を必要としているのである。別に言うなら、芸術が近代市民社会批判の有力な手段と見なされながも(それは、しばしば前衛と呼ばれる)、その目論見が必ず失敗するのも、この理由によっている。(絓秀実『革命的な、あまりに革命的な』ちくま学芸文庫
  • 文学はこの芸術が科された軛から逃れられるか?
  • 11月15日(火)スーパーカブ110のテールランプが切れていた。4年2万4000キロ走って切れた。北西からの風が強くなった。冬の気配だ。
  • 4つの首を温める。すなわち首・手首・足首・乳首。
  • ブレーキのハンドサインは「左腕を斜め下に伸ばす」
  • 第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。(道路交通法
  • 〈地下鉄の湿気でたわむ広告を自由にするため目は閉じた/大前粟生〉『柴犬二匹でサイクロン』書肆侃侃房、「を閉じた」ではなく「は閉じた」がいい。誰も見なければ広告は存在しないのだ。
  • 〈ひつじぐも炭酸の泡おいぬいてぱらぱらいそいそ恍惚なかお/大前粟生〉『柴犬二匹でサイクロン』書肆侃侃房、景の奥に楽園パライソが隠されている。
  • 〈茄子に触れ遠くのイルカに思い入る茄子に笑いかけ茄子としゃべろう/大前粟生〉『柴犬二匹でサイクロン』書肆侃侃房、茄子とイルカの質感の近そうという読み手の想像力が歌に強度をもたらす。
  • 〈生活を味わうための文体として雪 遅く起きるから降っていて/大前粟生〉『柴犬二匹でサイクロン』書肆侃侃房、「文体として」が屈折していていい。
  • 社員ものだと森川玉緒と松川令奈。
  • 七沢みあを忘れないのと
  • ふと新型コロナウイルス感染症はもう終熄しないのではないか、という諦念が漂い暗澹たる気分になる。
  • “Neduuma persono”. Proponita sufikso por montri, ke persono estas neduuma, t.e. nek viro, nek virino (aŭ eble sekse ambigua). IP° estas tre nove proponita (en la jaro 2019) kaj estas nur eksperimente uzata: amiko (de ĉiu ajna sekso) → amikipo = “amiko neduuma”.(接辞ip
  • エスペラントのノンバイナリーな接辞ipだけどそれなら接辞つけなくていいよ。
  • 第59回現代俳句全国大会は〈青時雨ことばは水でてきている/以太〉で対馬康子特選賞と秀逸賞、前田弘・秋尾敏特選2位。
  • OMソーラーが買収された。
  • ネットプリント詩政紙「沈黙交易」2022年11月17日号はセブンイレブンにて24日23:59まで「TG4ZNK3T」、ローソン・ファミマ・ポプラにて25日20時まで「HBYKWTGQMC」で印刷できる。A4白黒1枚20円

 

所以67

  • 1968年の世界的な意義は、何ごとかをもはや後戻りのできないかたちで変容せしめる予兆をあたりに漂わせたことにあり、それ以上でもそれ以下でもない。(蓮實重彦「映画をめぐる言説の「戦後化」をめぐって」『かみのたねをまく フィルムアート社50周年記念冊子』フィルムアート社)
  • ネットプリント詩政紙「沈黙交易」2022年11月13日号はローソン・ファミマ・ポプラ各店舗の複合機にて11月21日(月)5時まで「PRTQGQJCCT」で印刷できる、A4一枚白黒20円。
  • 11月13日(日)西鹿島トレインフェスタ、車両工場で洗車機体験と運転士体験ができる。たまたま並んだ列が運転士体験だったのでそちらへ行った。
  • 運転士体験は南側ではなく北側だったからか、並んだ時間の割には満足感が少なかった。洗車機体験のほうが良かったかな。
  • 失敗はその人の本質ではなく、失敗に対する態度がその人の本質だ。
  • 活動と理論の両方が必要なのは、活動することで理論の矛盾を発見し、理論を強化できるから。強化された理論に基づく活動は以前より現実に対処できるようになる。
  • 誤らない活動や誤りを認めない活動に活動する価値はない。
  • イスラームは神中心主義の宗教です。従うべきは神だけであり、いかなる人間や組織にも他者を隷属させる権利はありません。その意味でヒューマニズムという言葉はイスラーム的にはありえません。ヒューマニズムとは人間中心主義であり、そこには人間が人間を従わせるという意味が含まれています。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • イスラームではアッラー以外の権威を認めません。その食品がハラールかどうかを決められるのはアッラーだけです。そのアッラーに代わってお金を取ってハラール認証を出すというのは、イスラーム的どころか、明らかに反イスラーム的な行為です。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • ハラール認証機関はたんなる利権団体にほかなりません。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • 一般社団法人ハラル・ジャパン協会

  • 民主主義という制限選挙寡頭制の虚構性

  • 紅衛兵の壁新聞的のような民衆的「下層」からのメディア反乱としてのネットプリントを、津村喬のメディア論でいう「エクリチュールに対する、いきいきとしたパロール復権」としてのネットプリントを。
  • 現代のZineとしてのネットプリントnetprint。
  • netprint signifas interreta presaĵo aŭ retpresaĵo.
  • ĉe proksima oportuna-butiko en japanio, oni povas presi retpresaĵon, kiun malproksima homo verkis.
  • 影響を受けることを恐れるより影響を受けられるまでに未だ自分が達していないことを恐れたほうがいい。
  • 世間にあふれる格言めいた言葉はほとんど個人的な恨みを正当化させるための公式である。
  • タクシーに定価があるべきだという発想そのものを、なぜ疑わないのか。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • イスラームは利子を禁じることによってお金の流動性を高めているのです。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • カリフ制再興は、このような国境を取り払い、人と資本が自由に移動でき、富の公正で適切な配分を行い、真の意味でのグローバリズムを目指そうとする運動です。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • シャーリア(イスラーム法)をそのまま実行するとなると、じつはアナーキズムになるんです。(中田考『私はなぜイスラーム教徒になったのか』太田出版
  • ↑共同体アナキストである日本人に合っているかも。
  • 詩を愛しても詩を最終目的とせず、詩によってもたらされるものを最終目的とすること。

所以66

  • 時間は不連続な不可分の点の系列であり、世界はこの不連続の時間の点の系列の中において、一瞬ごとに無から創造されそのたびに消滅し、それを繰り返す。イスラーム神学で言うところの「時間原子論」である。/過去は存在しない。存在するのは「過去の痕跡」を刻んだ「今」のみである。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • 国民国家」とは多様性を暴力的に抹消し、均質的「国民」を創出することによって初めて成立したのであり、「現代」とは、この西欧起源の「国民国家」システムが世界中を覆い尽くしつつある過程であるからである。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • 二〇世紀は唯物論の世紀として幕を開け、宗教復興によって幕を閉じた。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • イスラーム世界では、ソ連崩壊=無神論の敗北
  • ヤクルト1000は睡眠とストレス、ヤクルト400は免疫、数が違うだけじゃないらしい。
  • 宍戸里帆、ロールスロイスのときのマシュマロ感。
  • 国家が暴力装置であることは自明の前提であり、暴力装置であることをもって特定の国家を「テロ国家」と喚ぶことはまったくナンセンスである。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • 詩政紙『沈黙交易』poezio kaj politiko "silenta komerco"の構成、①エスペラントの随筆、②俳句連作5〜7句、③短歌連作3〜5首、④川柳か自由律5〜7句もしくは現代詩もしくは一首評・一句評、⑤政治的試論。それとモノクロ写真。
  • 双方とも相手に不正なことは決して行わず、カルタゴ人は黄金の額が商品の価値に等しくなるまでは、黄金に手を触れず、住民もカルタゴ人が黄金を取るまでは、商品に手をつけない、という。(ヘロドトス、松平千秋訳「第4巻196」『歴史(中)』岩波文庫
  • ヘラクレスの柱以遠の海岸でのリビア人とカルタゴ人の沈黙交易
  • ヘブライズム+ヘレニズム=イスラーム→ヨーロッパ
  • つまり、預言で預言者がそれ以前より賢くなったためしはなく、彼らがあらかじめ抱いていた考え方はそのままだった。(スピノザ、吉田量彦訳『神学・政治論』光文社古典新訳文庫
  • kara samneŭrologianoっていいな。親愛なる神経内科患者同志。
  • posttagmeze 12-a de novembro ĉefkomitatano de japana komunista partio ŜII Kazuo oratoras antaŭ la stacio Hamamacu. hieraŭ li estis en kvaranteno pro esti KOVIM-19 pozitiva.
  • つまり「lā ilāh illā Allāh」は、より正確には「神は存在しない。しかしアッラーフについては別である(判断留保)」という意味なのである。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • 未耕地を国有財産とするイスラーム法体系においては、断崖は国有地であり国家の管理下にある公共空間である。アフガニスタンにはそもそも仏教徒がおらず、バーミヤンの断崖に掘られた仏像の破壊はイスラームが尊重する異教徒の私的空間における信仰の自由に抵触しないとの判断に立ってターリバーン政権は破壊を断行したのである。(中田考イスラームのロジック』講談社選書メチエ
  • 河原温によって1966年1月から開始された、単色で平塗りの地に白い文字で制作日の日付を描く「Today」シリーズの絵画作品を指す。日付絵画は主に河原の旅行先で描かれるが、その際はその土地の言語が用いられる。ただし、日本で描かれた際はエスペラント語が使用された。(日付絵画

所以65

  • スピノザがここで言っているのは、人間が望みうる最高の喜びは、決して、超自然的で想像もできないような何かではないということだ。(國分功一郎スピノザ岩波新書
  • 11月9日(水)弊局のコロナ陽性者26名。
  • 第四十回椿宮短詩形文学献詠祭前田典子選に〈千年を動く岩あり水の秋/以太〉が採られていた。11月3日文化の日の献詠祭は参加しなかった。
  • 国際語エスペラント学習の多言語サイトlernu!
  • Hektor Alos, Kiril Velkov: Tabuaj vortoj en Esperantoエスペラント・タブー語集・禁忌語句集
  • 後藤創始師範のエラスタルトelastartoはディアローゴdialogoに名を変えたらしい。
  • ディアローゴdialogoの三本の柱は「ストゥレーチョ」streĉo対立操法の養成/「テニージョ」teniĝo全身の繋がり/「スヴィンゴ」svingo上記二つの複合的養成法とのこと。
  • youtu.be

  • エスペラント学習サイト:Zagreba metodoによる。
  • つまり『エチカ』で神の内在原因の概念に基づいてafficiturという動詞表現が用いられる時、この動詞の指し示す動作にとっては行為する者と行為を受ける者が同一であるため、その表現に、自動詞表現と受動態表現と再帰表現の三つの意味が込められているということである。(國分功一郎スピノザ岩波新書
  • ロシアのウクライナ侵攻におけるプーチンパワーワード、特別軍事作戦・非ナチ化・部分的動員・汚い爆弾・脱サタン化・首席エクソシスト
  • 読む人とは、自分たちに託されたものを確かに受け継ぎつつも、その批判的検討を怠らない者のことである。(國分功一郎スピノザ岩波新書
  • 11月10日(木)弊局コロナ陽性者29名。
  • その季語とは別に、季節感ではなく、そのものの〈物象感〉を軸とした美意識化もあり得る。季節感が得難いときでも、物象感を軸に美意識化が出来るということで、「春の山」は季語だが、「山」は季語ではない。しかし「山」の物象感を十分に活かせば、季語同様に天然歯然との交感を可能にする、ということなのである。(金子兜太・黒田杏子・夏石番矢編『現代歳時記』たちばな出版)
  • 日本で何か社会活動するなら『菊と刀』は必読だ。特に応分の場が何かを理解しなければならない。
  • 本来の帝国は多民族・多言語・多宗教・多文化を包括する在り方であるはずで、それをひとつの民族、ひとつの言語でまとめ上げようとするのは、本来の帝国の在り方とは本質的に違います。その意味では、帝国の復活とは言いがたい。(中国政府はなぜ、ウイグル人を「抹殺」せずに「洗脳」するのか?
  • historie, diverseco estis realigata en imperioj. ĉar imperii diversajn popolojn faras imperion imperia. imperio sen diverseco iĝas nur reĝlando. en japanio imperiestro (tennoo, mikado) ekzistas. la tenno estu la simbolo de la unueco de la popolo kaj la simbolo de la deverseco. 
  • naciŝtatoj ne povas atingi diversecon pro la unueco. sed, ĉar japanio havas imperiestron, do japanio povas atingi ambaŭ unuecon kaj diversecon.
  • 日本国でLGBTなど多様性の実現を訴える人は天皇を避けて通れない。むしろ天皇を活用して多様性を実現する以外のルート*1は狭いか、厳しい。
  • 日本においてダイバーシティ天皇制とも言い換えられる。
  • 礬水は、膠とミョウバンを混合した水溶液である。(礬水wikipedia

 

栗木京子『新しき過去』短歌研究社

中立的というより詩の混沌にまで昇華できた社会詠をときどき読みたくなる。〈占領期といふ濃霧の日々ありき謀殺の文字ただ忌しく/栗木京子〉1949年国鉄三大ミステリー事件の一つ下山事件について。濃霧の日々というのが歴史感覚と合う。〈前を行く男女のつなぐ手はかつて蹄なりしか鰭てありしか/栗木京子〉現代の恋人の手つなぎにムカシクジラたちの世を思う。〈花の蜜よりも木の蜜しづかにて眠れぬ夜の紅茶に垂らす/栗木京子〉きっとメープルシロップ。〈海沿ひの道に給油所明るくて夏を連れ来る一滴の雨/栗木京子〉ちょっとした車旅に雨、夏への華やぐ心を抱えながら。〈楽しきもの想ひ眠らむひまはりの野をゆく移動図書館などを/栗木京子〉移動図書館のちょい田舎感がいい。至福の光景かも。至福の光景といえば〈叡山を下りて雄琴に来しことありソープランドの街とは知らず/栗木京子〉も、また。〈食パンの上にレタスを置くやうに街にゆふべの冷気降りくる/栗木京子〉レタスにまつわる水気とかを思わせる比喩だ。かすかに触れて降りくる。〈飛行機の狭きトイレで気付きたり生きてゐる身は伸び縮みする/栗木京子〉トイレは気付きの場と言われるけれど、非常な場所だからこそ気付くこともある。〈近すぎると思ふは哀し手から手へ受け渡さるる赤きゴムまり/栗木京子〉新型コロナウィルスの比喩として赤いゴムまりというのは面白い。〈一等星多きがゆゑに冬空は怖しと昔あなたは言ひき/栗木京子〉明るすぎる星は宇宙の深さを想像させるがゆえだろう。〈末枯れつつ冬に入る野よ半死語より死語へと移るほどのしづけさ/栗木京子〉ことばの寿命が尽きてしぬほどの冬寂、唇が動かなくなることでもある。

麦星よ狩の民には近く見え海の民には遠く見えしか 栗木京子