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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

第四回浜松私の詩コンクール入賞作品を読む

第4回浜松「私の詩」コンクール一般の部において「薬局にある象の遊具」という詩で浜松市長賞をいただいた。前回に引き続き2回連続の浜松市長賞である。また入賞作を読む。

小学生の部

浜松市長賞の佐野未歩「大きい小さい」は思弁的である。人間と地球と宇宙における大きさ小ささの組み合わせから演繹された思考はやがて微小を考えたライプニッツの大陸合理論へ届く、「私のこの小さな想像も きっと大きい」と。浜松市教育委員会賞の鈴木泉「ふしぎなドーナツの穴」は時間を超える穴として自己の成長を記録していた。

中高生の部

浜松市長賞の野寄幸穂「アイツの中身」はアイツの正体を明示しないパターン、でもなんとなく分かる。静岡県詩人会会長賞の古橋京佳「化け物がやってきた日」その化け物はコロナにも別の何かにも置き換えられる。遠州灘賞の影田れい「命の「おもさ」」は「重さはわからないけれど/「おもさ」はあたたかかった」と言い切れる強さがある。同じ区遠州灘賞の角谷りょう「一日の大切さは同じ」の「いつもどおりの生活をする」もまた強さ。

一般の部

浜松市教育委員会長賞のあさとよしや「先生」は「面白い先生」を描写する、もしかしたら自分のなかにいる先生かもしれない。中日新聞社賞の熊谷有加「こうちゃん」は子どもの作と見せかけて「死にむかって 生きている」で大人としてしっかり生きていることがわかる。静岡県詩人会会長賞の伊藤千賀子「舌にのこるあめ」は「笑う事を忘れた/一枚のセンタクモノになり」が忘れられない。遠州灘賞のleft alon 「意味が消えるとき」は風の街へ私もともに行こう。詩季賞の宮本幸恵「吹鳴(ミュージック・サイレン)」は「今ならきっと/歩いて行ける」が心に残る。