森鴎外「阿部一族」を読む。『菊と刀』で描かれた応分の場を占めたい日本人の心情劇を読むならこれ。〈遺品あり岩波文庫『阿部一族』/鈴木六林男〉 自由意志のないものも、自由でありうるか。もしありうるとしたら、その「自由」はどのような意味の自由なの…
ときどき季語は添え物にも思えてくる。でもその添え感を好ましくも思えてくる。〈工場を抜けて河口や秋の暮/相子智恵〉海際にある工場地帯だろう、広々とした秋の暮が思い浮かぶ。〈地下鉄の風に向かふや卒業す/相子智恵〉地下鉄のやや生ぬるい風が未来だ…
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