カップヌードルで暖を取る左手親指のささくれから吹いてくる乾いた風/生田亜々子(『アルテリ』五号)
豊田西之島のパン屋one too many morningsで読んだ『アルテリ』五号、短歌連作「なだれるように」より。「カップヌードル」や「ささくれ」で生活の様子は類推できる。壊れそうな生活、カップヌードルのお湯から手へ伝わる温度で親指へ血が巡る。拍動のたび記憶が甦るように、ささくれから乾いた冬の風が吹く。破調は心の動揺である。
enterを二回押したら真っ青で圧倒的にひとりの夜更け 生田亜々子