榛の木花粉症だと判明した日、生駒大祐『水界園丁』港の人を読む。〈鯉抜けし手ざはり残る落花かな/生駒大祐〉鯉の感触の残る手と落花との共鳴、あたたかい喪失感。〈プールサイドの足首の鍵の鳴る/生駒大祐〉その響きはきっと明るい。〈夜によく似て育つ木も晩夏かな/生駒大祐〉夜に似た木という比喩が黒く残る。〈擦りへりて月光とどく虫の庭/生駒大祐〉擦りへったのは月光、虫の音へ褪せた月光が注ぐ。
榛といふ名前に生まれさへすれば 生駒大祐
榛の木花粉症だと判明した日、生駒大祐『水界園丁』港の人を読む。〈鯉抜けし手ざはり残る落花かな/生駒大祐〉鯉の感触の残る手と落花との共鳴、あたたかい喪失感。〈プールサイドの足首の鍵の鳴る/生駒大祐〉その響きはきっと明るい。〈夜によく似て育つ木も晩夏かな/生駒大祐〉夜に似た木という比喩が黒く残る。〈擦りへりて月光とどく虫の庭/生駒大祐〉擦りへったのは月光、虫の音へ褪せた月光が注ぐ。
榛といふ名前に生まれさへすれば 生駒大祐