以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇2021年11月14日

島田修三選第一席〈小春日を「老婦人の夏」と呼ぶ国にアンゲラ・メルケル凜凜と生きたり/山守美紀〉ドイツ語を勉強したくなる。第二席〈風やみてためらひのなき書き順のやうに来たりぬけふの団円/冬森すはん〉硬筆ではなく毛筆。〈音だけをたよりに捜さん錠剤が机から落ち転がっていった/今井久美子〉なぜ灯り、眼鏡をつけなかったし。小島ゆかり選第二席〈ぽつたりのまたはんなりの熟柿ひとつ食べたし明日は手術を受くる/山守美紀〉熟柿の形容、語感がおもしろい。〈シャッターと居酒屋だけのこの道で選挙カーは「必ず」と叫ぶ/倉知典子〉静と騒の対比、気持ちの落差が巧み。〈花に拠り知らぬ同士が会釈する鶴舞公園七面芙蓉/村瀬誠〉鶴舞と芙蓉と字面が豪華だ。