サルマン・ラシュディ氏の刺傷を知った朝、朝日新聞を読む。高野公彦選〈マイク持つ安倍元総理に写りこむ犯罪者となる前のその顔／園部洋子〉省略が効いているが「安倍元総理に」は「安倍元総理（のテレビ画面）に」ということか。永田和宏選〈缶ピース長髪下駄履き思草寮まだ何者でもなかった私／篠原俊則〉思草寮は豊橋市にあった愛知大学の寮だろうか。〈「ふうん、そう」とか「なるほどね」とか受けとめてけれたらそれでいいんだよ／芹澤由美〉なかなかそんな平滑空間は存在しないからこそ。馬場あき子選〈スーパーへ超速のペダル列をなす農の休みの異国の青年／額賀旭〉自動車王国の浜松市・磐田市でもそんな外国人の自転車列を見かける。佐佐木幸綱選〈飴色に変わった竹のものさしが三本出てくる母の引き出し／杉本恭子〉おっちょこちょいな性格の母だったのかも。高山れおな選〈銀漢のはづれの星の戦かな／冨田卓〉辺境の戦争に微動だにせず回る天の川銀河。小林貴子選〈若き熱はけ口探す夏休み／古川周三〉ひたすら道道をさまよう、持て余された若い熱。長谷川櫂選〈空蟬に蟬より長き日々はあり／野原武〉子供に拾われ宝箱などに収納されたのか。大串章選〈昼寝覚富士山頂と思ひしに／吉野佳一〉そんな気分であるし、夢の景色がそうだった。
