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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

金山桜子『水辺のスケッチ』ふらんす堂

浜松城公園では翌日開催のローカルコーヒーフェスの準備をしていた。金山桜子『水辺のスケッチ』ふらんす堂を読む。〈輝ける蛇口に春の雲長く/金山桜子〉は天と地を同時に描きながら敢えて映すとは言わない。〈魚を追ふ魚ゐて蟬の声しきり/金山桜子〉は蟬の声にかき消された水面下の喧騒へ焦点を当てさせる。〈春愁の鉄塊となる橋脚よ/金山桜子〉の無骨な土木と春愁の心理とが質料と形相のよう。〈蜂がゐていちじく深く裂けてゐて/金山桜子〉「深く」という描写と「ゐて」のリフレインがとてもエロス。

寒鯉の崩るるやうに動きけり 金山桜子