以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

茘枝

〈茘枝手に人造少女の目に原野/中嶋憲武〉(『祝日たちのために』港の人)の基底部は「人造少女の目に原野」。雑草の生えるまま生命の奔放たる原野を眺めるのは、人の手により計画的に作られた少女の眼球。その基底部への干渉部は「茘枝手に」、茘枝はここでは蔓茘枝こと苦瓜ではなくライチの実だろう。というのは苦瓜では色が緑色系に固定されて景がぼんやりするのに対し、ライチならばその実は少女の眼球を連想させかつ赤みがかった黒が景の焦点となり景全体をひきしめるからだ。茘枝はそれを持つ人造少女が抱く、生命の奔放への願望だ。