以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

二つの読層

セブンイレブン静岡東名インター店だった。浜松へ帰る水分を確保するべく伊藤園の濃い茶を手にとるとこんな句が第三十回伊藤園新俳句大賞都道府県賞として掲載されていた。

化学式雪解けの日はまだ遠い/岡元愛瑠

和歌山県賞だったのだろう。ある読層では、「化学式」から学校の教室を想像させる。「雪解けの日はまだ遠い」は春の季語「雪解」を冬の季感を表すために使っている。厚い冬雲の下、教室の窓から積雪を見下ろす生徒たちの姿が見える。将来への不安、たとえば大試験への不安を想像させる。

別の読層では化学式の点と線のつながりと、雪の結晶を連想させる。科学的な解への道筋の遠さのようなものを思わせる理知的な暗示がある。化学式がそのまま雪の結晶を示しそうにない不安定さも、句のひとつの魅力となっている。

これら二つの読層が重なり合い、調和しあう面白い句だ。


化学式雪解けの日はまだ遠い/岡元愛瑠15歳