以太以外

空の色尽きて一月一日に/以太

滝浪武『羅針盤』牧羊舎

故・滝浪武さんの句集が届いた。〈さくらから手と足がでる異邦人/滝浪武〉省略が効いて笑える景になった。〈急流が眼下にありて春のピアノ/滝浪武〉ただならぬ景、ただならぬ音が奏でられそう。〈夏帽の少年馬の背にたてがみ/滝浪武〉生前「少年」という語にこだわっていた俳人の少年句、夏帽ー少年、たてがみー馬の相関で甘くさせない。〈白桃の中にふるさと深々と/滝浪武〉深々と刃をさしいれる。ふるさとは何色かり〈仰臥して腹式呼吸鳥渡る/滝浪武〉腹が山河に見えるのだ。〈電話線大きくたるむ建国日/滝浪武〉電線ではなく電話線であるおもしろさ。〈点眼や夜をまっすぐ落ちる滝/滝浪武〉水の動きをまなざす眼がある。〈鯛焼やその夜隕石海に落ち/滝浪武〉日常と変事の落差がおもしろい。〈あおあおと白鳥の来る道のあり/滝浪武〉句柄が大きい。〈蜩の領域雲と旅をする/滝浪武〉と〈蜜蜂の領域にあり雲の谷/滝浪武〉、領域は音だろうか。でも〈梟の領域にいて豆を煮る/滝浪武〉も音か?〈単色のいのち砂丘に雲の峰/滝浪武〉砂も雲も単色なのだ。

鳥渡る海の街からくる葉書/滝浪武

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