以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

谷川由里子『サワーマッシュ』左右社

静岡県浜松市にも蔓延防止等措置が適用された。〈日当たりのいい公園のブランコは夜になってもギラギラしている/谷川由里子〉余熱のようにして、昼がそこだけ続いているかのように。〈ルビーの耳飾り 空気が見に来てくれて 時々ルビーと空気が動く/谷川由里子〉他人に見せる耳飾りではない。〈からだをもっていることが特別なんじゃないかって、風と、風のなかを歩く/谷川由里子〉読点のぶつ切りが風から息を取り戻したかのよう。〈少しずつ透明になるはつなつの学芸会で虹を演じた/谷川由里子〉「少しずつ透明になる」がかかっているのは虹、だ。〈連絡網を好きだったのは雲のような吹き出しでつながっていたから/谷川由里子〉漫画のような連絡網。〈心臓を心臓めがけ投げ込むとぴったり抱きしめられる雪の日/谷川由里子〉心臓の延長としての肉体と肉体とが重なる、雪のなか。〈珈琲が体の一部になったのでこぼさず歩くことができます/谷川由里子〉たぷたぷ音がする。