以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

岡野大嗣『サイレンと犀』書肆侃侃房

こども園からのお熱コールで町一つと町半分の配達を見捨てて帰った日、岡野大嗣『サイレンと犀』書肆侃侃房を読む。〈校区から信号ひとつはなれればいつも飴色だった夕焼け/岡野大嗣〉児童にとっての異界はいつも夕焼けだった。〈友達の遺品のメガネに付いていた指紋を癖で拭いてしまった/岡野大嗣〉「あっ」最期の指紋が消えた、〈キャスターは眉をひそめて「通常の通り魔像と異なりますね」/岡野大嗣〉通り魔に普遍性のある社会、〈鈴なりのカカオの下で八月の光をたべている少女たち/岡野大嗣〉カカオの実はマジックリアリスムのはじまり、〈夕焼けにイオンモールが染まっててちょっと方舟みたいに見えた/岡野大嗣〉現代の神殿としてのイオンモールは〈村民が幸福になるイオンへの忠誠心の高い順から/岡野大嗣〉にも。幸福は単純さ、なのかもしれない。

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