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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

岡田幸生『無伴奏』ずっと三時

娘の前髪を切った日、岡田幸生無伴奏』ずっと三時を読む。それぞれ〈無伴奏にして満開の桜だ/岡田幸生〉〈さっきからずっと三時だ/岡田幸生〉から。「〜だ」という断定は自由律俳句特有の表現である。〈きょうは顔も休みだ/岡田幸生〉顔は休むとどんな顔になるのか、〈光をあつめて黒いタイツだ/岡田幸生デニール数が低い、〈スピカがあかるいあしたは休み/岡田幸生〉因果は語順の逆となっている。〈ネクタイのとける音すずしい/岡田幸生〉シュルシュルを温度に変換する、〈青空の仮病をつかった/岡田幸生〉「青空の仮病」という造語の爽快さ、〈雪ひらがなでふってきた/岡田幸生〉カタカナや漢字ではなく、〈ひしめく星の音とどかない/岡田幸生〉ひしめいているのに、音が小さいわけではなく、〈風邪をひいた喉がある/岡田幸生〉腫れたことで存在が強調された喉のこと。

いい風がきてうわの空 岡田幸生