以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

松村由利子『耳ふたひら』書肆侃侃房

もし世が世なら東京オリンピックの開会式がある日、『耳ふたひら』を読む。〈都市の力見せつけているキオスクの朝刊各紙の厚き林立/松村由利子〉田舎のコンビニには都市の駅のキオスクほど朝刊を揃えていない、キオスクの朝刊は都市の兵站力を見せつけている。〈種を持たぬ果実の甘さ思わせるやさしい人の淡きかなしみ/松村由利子〉一代限りのやさしさ、なのかもしれない。〈至福とは夏の終わりの午後に読む『ドリトル先生航海記』かな/松村由利子〉航海記の遥かさと広がりは夏の読書に合う。〈濡れた手でさわらないでね明け方の心は染みになりやすいから/松村由利子〉明け方の心は枯れており水分を含みやすい。