以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

吉田恭大『光と私語』いぬのせなか座

〈いつまでも語彙のやさしい妹が犬の写真を送ってくれる/吉田恭大〉やさしい語彙のひとつとして犬の写真をもらう。〈もうじきに朝だここから手の届く煙草と飴の箱が似ている/吉田恭大〉徹夜明けか早朝覚醒のボンヤリさがわかる。どちらも口寂しさを紛らわす、とりあえずどちらもとるのだろう。〈筆跡の薄い日記の一行をやがて詩歌になるまでなぞる/吉田恭大〉詩歌は薄い文字ではなくある程度濃い文字で書かれるだろう。他人にも読まれるために。〈真昼間のランドリーまで出でし間に黄色い不在通知が届く/吉田恭大〉クロネコヤマトだろう、ランドリーの白もドアポストの白も不在通知の黄色も鮮やかな日だろう。〈読み難い人の名前を間違えてもう下ろせない銀行がある/吉田恭大〉暗証番号のように人名を使ってしまう。しかし現代なら本人確認方法として他人の名前を使うような機械的コミュニケーションもありうる。〈国道に沿って歩けば辿り着く精米機のある場所が郊外/吉田恭大〉精米機はたいてい農協が設置しているからそこが郊外なのだろう。しばらく周りを見回す。すこし寂しい。

西。東日本各地に未明から断続的に非常に強い 吉田恭大