以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

中日歌壇2021年11月7日

 

島田修三選第二席〈投獄のジャーナリスト二百人超黒を黒とは言えない世界/滝上裕幸〉自然状態か国家状態か。〈抑え込み絞めて固めて十文字やっと縛ったダンボールだが/柴田きみ子〉ボワっと弾けた、のだろう。〈くい込みて抜けぬ包丁人質に南瓜野郎を湯浴みさせたる/山川富久〉電子レンジ加熱しておくと切りやすいやしい。小島ゆかり選第一席〈今にしてあれが最後と思はるることを数へて秋は深まる/林映美〉自分にとっては何だろう。人に恋心を抱くことか。〈「十月はたそがれの国」と誰か言う家路を急ぐ人影小さく/坂野真理〉「誰か」「人影」に無数の群衆を思う。〈乙女らの戦のあとの笙の笛歌留多の宮に木の実降りつぐ/中山いつき〉近江神宮だろうか。〈「二年ぶりの運動会です」野良で聞く学校の放送よろこびの声/落合義紀〉歓喜のおすそわけというわけか。