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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

中日歌壇2020年12月6日

NHK短歌の日、竹取りの翁と羽田空港の落差がおもしろい島田修三選第一席〈竹取りの翁になりて光る孫羽田空港に今見つけたり/豊田芙美子〉と角ばった頬骨を思わせる第三席〈まだ渋の抜けぬ柿の実を思はしむ青年の主張すがしみて聴く/久米すゑ子〉は、よくお名前をお見かけする。〈正門に机積み上げしバリケードどの派も通る裏門愉しかりき/伊藤孝男〉裏門にうらとルビ、こんな時代もあった。小島ゆかり選第二席〈母親に歌聴かせてと言われても歌わぬ高一風呂場で歌う/村田尚子〉素直じゃない好漢。〈獣害に備え四方に網を張り檻に入りての柿の収穫/前村治美〉獣害を恐れるのは柿ではなく自分であるかのような諧謔がある。