以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

伊藤一彦『微笑の空』角川書店

磐田市中央図書館で借りた『微笑の空』を読む。〈いつよりか男もすなるごみ出しをわれも励めり当然として/伊藤一彦〉新時代を生きるために必要なこと。〈兵役を経ずに六十代になりたりとゴミの袋を出しつつ思ふ/伊藤一彦〉も。〈鉛筆の尖りて赤し 憎しみに武器とならざるものなき教室/伊藤一彦〉憎しみさえ抱けば全てを武器とすることができる。〈「一斉」をきらへるゆゑに給食も授業も拒み家にゐる少女/伊藤一彦〉かつて「みんな」に苦しめられてきたのだ。〈あまりにも「いい子」の君は手首切る過剰期待はすでに虐待/伊藤一彦〉脚韻はすでに語と語に意味的なつながりを表す。さらにその上に構文でのつながりがある。〈よき長男よき委員長のこと生徒よく磨かれし嵌め殺し窓/伊藤一彦〉「嵌め殺し窓」の語の強さとそれまでの柔らかさとの落差。〈沿道に立ちて媼の売りをれば婆篦アイスと地の人言へり/伊藤一彦〉高知のアイスクリンと秋田のババヘラアイス。