以太以外

蒼褪めた巨漢は笑う水澄んで 以太

「あらくれし日月の鈔」『八田木枯全句集』ふらんす堂

労組新春のつどいの日、「あらくれし日月の鈔」を読む。〈再会やピアノの端に雪降れり/八田木枯〉「ピアノの端」に「雪」という景へのこだわり。〈濤の間に歌留多の夜のたゆたひて/八田木枯〉波の躍動と児戯心の躍動と〈平仮名に波がかぶさる歌留多かな/八田木枯〉と比較して「たゆたふ」と「平仮名」は同じ働きをしている。〈埋葬の虹ひりひりとまつげにまで/八田木枯〉虹と睫毛のかたちの類似と視覚についての詩的言及。〈男のみ首すぢ濡らす藤の雨/八田木枯〉髪型の違いであるけれど「男のみ」とした清潔さが藤。〈病雁のまぶしすぎるよ手風琴/八田木枯〉雁と楽器と北辺の太陽という童話がある。

流涕や夕陽まみれのオートバイ 八田木枯