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以太以外

病名は人間性や夕野分 以太

黛まどか『B面の夏』角川書店

バスターミナルを見下ろしながら佐佐木定綱『月を食う角川書店を読む。〈噛み遭わぬ男女は帰りテーブルに折り重なったフライドポテト/佐佐木定綱〉の意外で滑稽な視点。それから時代舎古書店で買って読んでいなかった黛まどか『B面の夏』角川書店を読む、表題句は〈旅終へてよりB面の夏休み/黛まどか〉、伊集院静が「蒼い果実の揺れ」と題した文章を寄せている。〈交換日記少し余して卒業す/黛まどか〉書き足りなかったことば、〈楽書きをなぞるらくがき沈丁花黛まどか〉仮名に開くと恋になる、〈鶯や叩いてほぐすふくろはぎ/黛まどか〉離れすぎのようで鶯の声にふくろはぎのふくらみが付く意外さ。〈小悪魔になったつもりのサングラス/黛まどか〉と〈いつまでもキスをしているサングラス/黛まどか〉は同一人物、〈割箸をぎつしり立てて祭くる/黛まどか〉はお好み焼き屋など夜店の意気込み、〈着ぶくれて渋谷を少しはみ出せり/黛まどか〉居づらさ。